野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

弦楽四重奏を聴く

弦楽四重奏曲を作るにあたって、弦楽四重奏の曲を色々聴くべきか、敢えて聴かないべきかについて考える。「オルガンスープ」を作曲した時は、全くオルガンのCDも聴かなければ、オルガンのスコアも見なかった。で、作曲した後になってから、カーゲルのオルガン曲をCDで聴いて楽しんだ。今回は積極的に弦楽四重奏を聴こうと思う。そこで、まずは、楽譜屋に行って、適当に弦楽四重奏のスコアを見る。気がついたら2万円くらいのお買い物。
食堂でご飯を食べたり、地下鉄に乗っている時は、子どもたちの書いた譜面を眺めて過ごしている。「れんしゅうきょく」と書いてある譜面には、音符が羅列してあった。よくよく数えてみると、1段目には15音、2段目には14音、3段目には13音、4段目には12音の音符があった。一段ごとに1音ずつ減っているのだ。これは偶然だろうか?それとも意図してやっていること?深読みしすぎると、弦楽四重奏の4パートが、15音、14音、13音、12音を同じ時間に演奏する「練習曲」とも思えてきた。
NHKに打ち合わせに行く。4月から放送が始まる音の番組について。番組のプロデューサー、ディレクター、アニメーション制作の人、演出家、番組の美術を担当することになる絵本作家の人と、ぼく。番組のタイトル、キャストをどうするか、スタジオのセットをどんな感じにするか、などを中心に話があっちこっちに飛びながらの打ち合わせ。話があっちこっちに飛ぶから、まだもう一山超えて、もっと面白い番組にできるのかもしれないから、諦めずに、小さくまとまらないようにしたいものだ。ちなみに、キャストの相談で、タレントの名前をみんなが言っている時だけは、全く分かりませんでした。テレビ見ないから、タレントの名前分からないなぁ。ちなみに3時間半の打ち合わせで、一度も休憩時間を設定しないのに、トイレに席を立つのはぼくだけ(2回も)。他の人はトイレに行かないんだなぁ。ちなみに、ぼくはトイレに席を立ったりして、場所を変えることでアイディアが閃くこともあるので、トイレに行くのは好き。昔、プーフーというバンドでみんなで曲を作っていた時、ギターの豊永さんがトイレに行くたびにアイディアを思いついていたなぁ。
打ち合わせの後、CD屋に行って、弦楽四重奏のCDばっかり2万円も購入してしまった。アイヴス、ヒンデミット、グリーク、ヴィラロボス、ヒナステラなど、この人は弦楽四重奏でどんな曲を書くのだろう、と色々買ってみた。CDを聴いてみて思ったのは、弦楽四重奏って、P−ブロッの鍵ハモ四重奏(または5重奏)よりも、ヴァラエティに乏しい。同族楽器のアンサンブルという意味では、P−ブロッと弦楽四重奏は非常に似ているし、音域もそっくり。(バス鍵ハモは、チェロより最低音が4度高いが、ほぼ同じ)。そう考えると、ぼくは、弦楽四重奏を書く時、P−ブロッに曲を書くような気分で書いてもいいな、と思った。とにかく、P−ブロッ以上にヴァラエティのある弦楽四重奏の曲集を書きたいな、と思った。