野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

愛する人たちの即興演奏

ハダスフィールド大学のヒューの即興演奏の授業に参加。2年生対象の選択科目。「去年は15人が履修したけど、今年はぼくはもっと人気があるから25人くらい学生が来ると思う」というヒューの予告通り、25人ほどの学生が参加。
ヒューが1年間のカリキュラムと成績の付け方などを説明。成績は即興に関するレポート(30%)、ソロの即興演奏(20%)、その場で指名したメンバーでのグループ即興演奏(25%)、あらかじめ指名してあるメンバーでのグループ即興演奏(25%)でつけるとのこと。
ボブ(ホエールトーンにも参加、即興演劇をやっている)による「歩く」ワークショップ、鏡になるワークショップなどをやった後、ザウルスとカナとぼくでワークショップ開始。今日のテーマは、恋人たち。恋人同士の気分で即興演奏。適当にカップルを作り、そのカップルを邪魔したりしているうちに、だんだん男を奪い合う演奏になったりして、すごく面白い。ザウルスはヴァイオリニストの顔の下に顔を入れたり、ぼくもトロンボーンを頭でミュートしてみた。これも初体験。ま、とにかくメチャクチャ面白かった。ザウルスがピアノの下に潜り込んだので、ぼくもピアノの下に潜り込んだ。そもそも、演奏というのはお客さんから見えないところに行ってはいけないものなのだ、本来。それが見えなくてもいいから、行きたいところに行く、という舞台人とは無関係の発想で、ピアノの下に寝転がって、そこから手を伸ばしてピアノを弾く。天井が見えるが鍵盤は見えない。すると、カナとヒューがピアノの上に寝転がって、鍵盤を逆さまから弾いている。こちらからは、顔が見える。変な光景。一体、どんな音楽なんだか?観客から見ると、どう見えるのだろう?そんなことは無関係に楽しむしかないや、と楽しんだ。
ヒューによると、その日、3人もの学生が(別個に)ヒューの研究室を訪ねて来て、今日の授業は面白かった、と言いに来たらしい。これは、すごいこと。
午後、ハダスフィールド現代音楽祭のオフィスで、打ち合わせ。ヒューとぼくと日英のハイスクールの生徒のコラボレートの曲を、11月23日にフェスティバルで発表する件。
イギリス側が曲を作り、その録音をウェブにアップ。それを聴いて、野村+日本の子どもが、「もっとこうした方がいい」というアドバイス・提案を送り返す。ある時は、日本語で提案を言って録音したら、ヒューとイギリスの子どもたちが、日本語を音素材として扱って、曲を作ってまた返す、というような感じ。ある時はビジュアルや言葉で提案を送る。とにかく、日本側は、一切楽器は演奏せずにプロデューサーみたいな感じで注文だけしていくことにした。そして、最後、コンサートの録音を日本の中学生と聴いて、それを聴いた後の拍手を録音して送り返すところで、プロジェクトが完了する予定。メチャクチャ楽しみ。注文だけつけて、どこまで作曲ができるか?
夜は、味噌汁を作って食べたり、マッサージをしたりして、ヒューの一家と楽しんだ。
ところで、今日には、ホエールトーン・オペラのウェブサイトに映像がアップされるらしいですよ。要チェック!
http:///www.whaletone.co.uk