野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

横浜トリエンナーレ

横浜トリエンナーレの打ち合わせ
横浜トリエンナーレの事務所に行ったら、高嶺格くんに会った。今日だけ偶々来ていたらしい。野村幸弘さんと3人で日曜日のシンポジウムについて話した。舞台のスタッフの人たち、怒ってたかな?面白がっていたかな?怒るのは当然の心境だと思うし、脚光を浴びて嬉しいのも当然の心境だと思う。色んな人が、あのシンポジウムについて語り続けている限り、あのシンポジウムは継続している。あのシンポジウムが、どこまで語り継がれるかが、エイブルアート・オンステージの今後に大きく左右すると思う。ひとまず、その意味で、シンポジウムは大成功。

今日は、横浜動物園ズーラシアの長倉かすみさんとの打ち合わせ。この人は、昨年の赤城でのワークショップフォーラムで出会った人。動物園の飼育係をしているが、もともと農業化学から環境教育に興味が移り、動物園に着目して、奨学金を得てヨーロッパの100の動物園を10ヶ月かけて視察し、その後、動物園に就職し、飼育係になり、動物園の可能性を追求し、様々な新しいプログラムを考えて実践している人。

9月12・13日に動物園の仮眠室に泊まり込み、撮影をすることに。長倉さんが担当のフランソワルトン、ドゥクラングール、ダスキールトンというサルと音楽をしたり、その他園内の色んな動物とコラボレーションする予定。動物たちとどんな音楽ができるのか、楽しみ。ちなみに、どんな楽器だったら興味を持ってもらえるか、提案があれば、是非書き込んで下さい。実践してみますから。
11月19日の夜には、長倉さん、野村誠野村幸弘の3人で、動物と音楽、動物園とアートを巡っての鼎談もすることになった。かなり面白い深い話になりそう。幸弘さん曰く「動物園が成立したのは、17世紀後半。国家や国境ができた時期と一致する、動物園っていうのも、檻で境界線を明示するわけで。現代の国家が融解していく時代に、動物園はどうなっていくのか?」などと言う話も十分面白かったから、当日の議論は楽しみだ。

もう一つのプロジェクトは「搬入の音楽」。展覧会場での搬入の風景とコラボレートする音楽。今日は搬入前の空っぽな空間で演奏した「搬入前の音楽」。写真家の安斎さんという人も撮影に立ち会ってくれたけど、すごく気さくな面白い人。ジョン・ケージやデイビッド・チュードアとも交流があったようで、現代アートの生き証人のような人だ。色んなアーティスト・アートを撮ってきたのだろう。まさしく、撮影の現場は舞台裏だけど、これこそ面白い。だから、ぼくは搬入前の会場や、搬入中の会場で演奏し、それから作品を作るのだろう。既に作業中のgrafのスタッフも大喜び。

現代美術は、演劇やダンスに比べると、既に何でもありが定着している分、今日も全然ストレスなく仕事ができた。エイブルアート・オンステージなどで舞台の仕事をして思うが、舞台芸術も現代美術程度に何でもありになっていると、もっとやりたい中身に集中できる。今は、まだ枠を解体しなければいけないほど、枠組みが固い。現代美術だと、展覧会場の外でやろうと、会場に動物を連れて来ようと、物が存在しなくても、美術館からどこかに出前に行っても、何でも許してくれる文脈が既にあるから、やりやすいな。

いい撮影できました。