野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ハーモニカと鍵盤ハーモニカ

ハーモニカ奏者の小林史真さんと打ち合わせ。史真さんのパートナーのAndrew Melvinも一緒。10月27日に門仲天井ホールでやる史真さんのコンサートにP−ブロッがゲストで出ることの内容の打ち合わせ。
ハーモニカと鍵ハモのための新しい曲も書きたいし、これまでのP−ブロッのレパートリーや史真さんのレパートリー、組曲「オルガンスープ」より抜粋で「ペンギン」、「みそラーメン」はできそう。「ペンギン」と「みそラーメン」を譜面で見せたら、史真さんも気に入っていた。アンドリューは、「オルガンスープ」の譜面を欲しがってたので、今度、プレゼントしよう。アンドリュー作曲のハーモニカ+鍵ハモの曲などの譜面ももらった。
で、新幹線で京都に移動。
フィルムアート社から「アートという戦場 ソーシャルアート入門」が届いていた。152〜156ページにかけて、ぼくの原稿が載っていた。この原稿は、今回のエイブルアートの「コラボ・シアター・フェスティバル」の色んな問題に対するぼくなりの解答にもなっている原稿なので、是非、読んでみて下さい。途中の「作品づくりだけがアートですか?」という問に対する小山田徹さんのコラム、「作品がなくてもアートですか?」という問いに対する川俣正さんのコラムなど興味深い記事が多い。編集部のまとめた「ソーシャルアート基礎知識」のページの「プロセスの中にある偶然性、即興性、意外性、葛藤や失敗を受け止め、味わい、理解し、試行錯誤しているとき、無意識に隠蔽している大切なものが流れの中で浮上します」という部分、絹川友梨さんの「意識的に生きているわたしたちが、どうやって無意識とコンタクトできるか?」という文章を読んだ時、今回のフェスティバルで「即興」を舞台に載せたことの意義をもう一度、考え直すことができた。ぼくは、舞台という場を設定することで、無意識に隠蔽されていたものを掘り起こす作業を意識的に行っていたのだと思う。そうでなければ、即興をする意味がない。他の表現手段では立ち現れない問題を、はっきり露呈させてしまう場を作ること。「さあトーマス」は、その意味で成功だったように思う。本番の舞台は、よく整理されたものでもなく、見て心地いいものでもなかったと思うし、しかし、雑然とした中に、多くの問題点が浮かび上がり、その中で出演者が悪戦苦闘した、紛れもない戦いの場であった。大変だったけど、大変だけど目を背けてはいけない。しっかり向き合わなくては。
マザーアースから箏の独奏曲「りす」の譜面が届いていた。水谷隆子さんのために作曲した絃の上で文字を描く曲。完成した譜面を見て、思わず苦笑。こんな譜面、見たことない。カナちゃんが「自閉症の人が意味不明の文字を書き並べたような感じに見える」とコメント。

8月7日の日記に加筆。シンポジウムについて、少し書き足した。少しずつ、書き足していきたい。

さて、明日から、しばらく時間があるので、箏の作品を一気に書こう、っと。