野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

アートデリバリー2日目

今日は老人ホームで、40人のお年寄りと2時間過ごした。
今日のポイントは、配置。スタッフの方から、「テーブルを撤去して、円形などに並んでいただきますか?」と質問があったので、普段通りに、テーブルや椅子が置いてある状態でお願いした。なぜかと言うと、正面を向く必要もなく、興味があまりなければ、無理に活動に参加しなくてもいいし、折り紙などほかのことをしながら音楽を何となく感じることもできるし、見た目に参加していない人が居心地悪くないから。そういう隙間のある空間の方が、なんとなく風通しがいいと思った。で、それがよかった。
施設の方が、かなり心配していたので、あんまり心配させても申し訳ないので、冒頭から、ピアノ演奏、鍵盤ハーモニカ演奏、ペットボトルでの演奏などをエネルギッシュにやった。で、全体を通して、けっこうぼくがエネルギッシュにパフォーマンスしながら、それに緩やかにお年寄りが加わってくるようなノリだった。現代音楽とか、音楽の可能性の話なども取り混ぜた。お年寄りは興味を示してくれたと思う。
だんだん、お年寄りも調子が出て来て、次々に発言が出たり、アイディアが飛び交い、面白かった。しりとりをやったら、「うめぼし〜しおから〜らっきょう〜うに〜にしん」という下りが出て、面白かった。また、「すしにきく」という歌を作ったら、「すしには、酢をきかさなきゃダメよ」。あと、この施設で普段音楽療法をやっている人がピアノ、本日のリーダーを担当の職員さんがフルートで「浜辺の歌」を演奏してくれた時、ぼくは波の動きを鍵ハモで演奏しながらやってみた。押しては寄せる波の動きをやったら、かなりハードな運動になった。
最後にお年寄りのリクエストで「赤い靴を歌ってくれ」と言われ、歌手でもないのに、歌でしめるとは大変だぁ、と声明風にしてみようか、どうしようか、戸惑いながらも、思い切って歌いながら、ピアノを弾いて、途中で、赤い靴を履いた少女と外国人の即興ひとり芝居も取り混ぜて、演奏した。そして、「赤い靴履いてた女の子は、どうなったのでしょうね?」と質問したところ、「青い目になったんだよ。」とか、「ハッピーになった」とお年寄りから返答があり、なんだか、いい終わりになったなぁ、と満足。
今回、京都からの交通費を用意していただいていたが、東京にいたので、その予算が浮きそうなので、明日ゲストアーティストをよんでもいいですか、と確認をとってから帰った。とは言え、今日言って明日来れるなんて、普通あり得ないけど、一応、そういう可能性を考えてみた。そしたら、帰り道、なんとなくお腹がすいたので、ソバ屋に入ったら、そこに、林加奈さんと大田智美さんがソバを食べていた。二人は原宿で昼ご飯を食べて、本駒込のパン屋さんなどに行ったりして、帰ろうとしていたが、なんとなくソバ屋に入ったらしい。大田智美さんは、アコーディオニストで、ドイツの大学院で修行中。御喜美江さんのお弟子さんで、クラシック音楽をみっちり勉強中なんだと思う。昨年5月には、リール(フランス)で3週間くらい一緒に色んなプロジェクトをやった。で、今は一時帰国中。明日の予定はあいてるらしい。明日、老人ホームに来てもらうことになり、アコーディオンの音色にお年寄りがどんな反応をするだろう。楽しみ、楽しみ。