野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ガチャ・コン音楽祭/芸術家と子どもたち

びわ湖・アーティスツ・みんぐる2022『ガチャ・コン音楽祭Vol.2』に向けてのリモート会議。財団の福本さん、山元さん、コーディネーターの永尾さん、野田さんと。今週末(6月19日)に、キックオフミーティングを開催(入場無料、14:00-16:30@近江鉄道日野駅)。と同時に、プロジェクトメンバー”ぐるぐる”募集中(10名程度)。詳細はこちら。

 

biwako-arts.or.jp

 

10月23日に計画している今年度のライブのことを中心に話す。アーティストのこと、会場のこと、交通手段のこと、考える要素が色々ある。昨年のシンポジウムで近江鉄道の山田さんが推薦してくれていた愛知高校とのコラボは、高校の模擬試験の日程と重なっていて、今年度は実現せず。だいぶ企画の概要が見えてきた。今週末に再度、滋賀のリサーチやアーティストとの打ち合わせなど必要。

 

企画を現実に落とし込むと同時に、ミッションは何だったのか、ということを、常に考え直す必要あり。滋賀県内に数々のアーティストがいるし、魅力的な場所もたくさんある。こうした人や場所をつまみ食いするような企画では意味がないし、関わりを通して触発され、新しいものが生まれてくる場を作りたい。そういう環境をつくるための土壌づくりのようなことをしている。だから、たった一日のイベントだと考えると、効率悪い。ああでもない、こうでもない、と色々話をしている。でも、そうしたことがじわじわ効いてくるはずだと信じ、やっている。

 

午後は、NPO法人芸術家と子どもたちの理事会。コロナでオンラインになったおかげで、年に一回の理事会に参加できるようになった。2000年に小学校での一番最初のワークショップをした時は、堤さん一人だったのに、今ではスタッフ10人で、ものすごい数の事業を実施している。20年前に初めて理事会をした頃、ぼくたちは30代前半で、これから新しいシーンを切り拓いていくという気持ちもあった。今では老舗のNPOという感じで、老舗ならではの課題もあったし、逆に2020年代に取り組むテーマも色々話し合えた。例えば、昨年開催した勉強会『少年院にいる子どもたちの現状と課題を学ぶ』など。

 

www.children-art.net

 

塔本シスコ展に向けての作曲は、ちょっとずつ進んでいる。

 

 

 

 

 

 

 

 

邦人作曲家シリーズ/トウモロコシも収穫/香港とのワークショップ/シスコ作曲中

タワーレコードの冊子(ミュゼかintoxicate)に、21年前に掲載された記事が、この度公開になった。32歳の野村誠だが、写真を見ると高校生かいなと思う姿である。この20年で年を重ねたが、あの頃は相当若かったなぁ。好き勝手自由に話していることを、小沼純一さんが記事にしてくださっている。作曲家シリーズとは思えないような内容。

note.com

遠征から熊本に帰ってきたら、すっかり梅雨。今日も雨。庭の畑の野菜たちは元気で、キュウリがでかくなりすぎていたり、ミニトマトが真っ赤になっていたり、ズッキーニが大きくなっていたりして収穫。トウモロコシも収穫。

 

今日は、香港のCCCDのオンラインのコミュニティ合唱団のワークショップだった。昨年、一昨年はオンラインでのワークショップをいっぱいやったし、海外とのワークショップもいっぱいやった。オンラインワークショップで何十人と参加すると、パソコンの画面だと小さいので、オンラインに対応するために1月にモニターを購入した。ところが、最近は、国内で対面の機会が増えてきたので、モニターの威力を発揮できる機会もあまりなかった。久しぶりにオンラインで海外だ。

 

香港は、25年前まではイギリス領だったので、英語を話す人が多い。だから、英語で多くの人は大丈夫なのだが、一応、広東語で逐次通訳をしてもらう。先月まで、第1期のワークショップが行われて、地球温暖化に関する歌を作詞/作曲したようだが、今日からは新たなメンバーらしいので、簡単に自己紹介して、ちょっと準備体操などしてみて後は、広東語で「地球温暖化」をどう言うのか教えてもらうところから開始。何度も言ってもらい、そこからメロディーをつくる。続いて、日本語の「地球温暖化」を発音してもらい、これもメロディーにする。この二つのメロディーをつなげて、これに振りをつけて歌ってみる。その後は、温暖化に関する歌詞を付け加えてみる。

 

途中で、祈りの音楽を、ぼくが即興のピアノと即興の歌で歌うと、それに皆さんも反応しれくれたりする。部屋の中で見つけた音の出るものでセッションもした。途中で、日本の話をしたり、日本の楽器を紹介したりもする。そして、歌の続きをつくる。今度は英語。広東語、日本語、英語の混ざった歌ができた。90分はあっという間だったが、久しぶりに香港に行けてよかった。このワークショップは全4回なので、4週間連続で火曜日の午後は香港。次回も楽しみ。

 

実は、今度の金曜日の夜(日本時間の20:00-21:00)も、香港。CCCDのオンラインフェスティバルに出演。こちら無料のはずなので、日本からでも見られると思うので、どうぞ。

 

https://www.facebook.com/cccd1/posts/5194778753941689

www.art-mate.net

 

その後は、塔本シスコ展に向けての作曲。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

鈴木潤との作品づくり

京都の鈴木潤さん宅を訪ねる。二人でアルバムを作ろうと計画中。

 

今日は、ピアノとエレピでのデュオで色々録音した。自由な即興もいいが、潤さんがキーボードベースとエレピでループを作って、そのリズムの上で、ぼくのピアノが遊ぶ感じも面白い。何曲も録ってみた。最後は、ピアノと足踏みオルガンとのデュオも。

 

潤さん曰く、レゲエとか新しいジャンルが生まれる前の感じに近い。確かに、既存のジャンルには全くはまらないけど、エレクトリックピアノアコースティックピアノのデュオで、リズムに乗りながら、ちょっと和風になったりもしながらグルーヴする即興のダンスミュージックって、聞いたことないけど、一つのジャンルになるかもしれないなぁ。

 

楽しいからライブもしたいけど、こんな感じで時々レコーディングを続けていこう。

 

6月17日に香港のCCCDの企画で、オンラインコンサートする。そのための連絡などなど。

 

熊本に戻る。

 

 

 

 

たいようオルガン

水戸芸術館でのリハーサルの後、隙間の時間に、新しくオープンしたスペース「五月の庭」での寺門陽平展を見に行く。寺門さんご自身に会場に連れて行っていただき鑑賞。ご家族の病気とそれに対峙した作家や家族の視点から生まれた絵画やインスタレーションとテキスト。
 
荒井良二さんの絵本を原作に作曲した《たいようオルガン》。全部で14曲もあって、30分に凝縮された作品。水戸芸術館のオルガンの様々なパイプの音色を駆使しまくっての石丸由佳さんの音色づくり+両手両足を最大限に動かしての熱演。そして、小林沙羅さんの美しすぎる歌声が、神々しく降り注いだり、躍動的に楽しく熱唱したり、本当に言葉に表せない素晴らしすぎる演奏だった。昨年よりもパワーアップしての再演。高巣真樹学芸員が繋いで下さった素敵な演奏家たちは、ぼくの曲にベストのお二人で、今日の本番、とんでもなく大成功で!!!!!!7月2日の新潟公演もめちゃくちゃ楽しみ。みんなー、新潟に大集合だーーーー!!!各地のオルガンで再演したい!!
 
帰りの電車の中でも、荒井さん、そして『たいようオルガン』の編集者の佐川さんと興奮して語る。荒井さんと話すと、この30分の楽曲を核にして一本の公演として総合的にプロデュースする構想は次々に湧いてくる。来年、再来年とどんどん進化させていきたいなぁ。素晴らしいチームだけに、このままで終わらせたくないなぁ。
 
たいようオルガン (原作:荒井良二、作曲:野村誠 水戸芸術館委嘱作品)
1 あさがきた前奏曲
2 ゾウバストッカータ
3 賛美歌くさはえてる
4 はたけある音頭
5 DJくもりのくも
6 ビルいっぱい音列
7 あめドラム
8 あめやんで間奏曲
9 ゾウバス追走曲
10 民謡うみのにおい
11 おちゃいただきファンファーレ
12 すないっぱい行進曲
13 ゆうやけカーニバル
14 つきオルガン夜想曲

 

 

ゾウバスはしる〜〜〜〜〜〜。るるるる〜〜〜〜〜〜〜@水戸芸術館

水戸芸術館での長い一日。荒井良二さんとのワークショップ。小学生1〜3年生22人と。『たいようオルガンの世界』。

絵の具塗りまくりの午前中2時間。0.9mx10mの長い巻物の絵を2枚、合計20m塗りまくった。ぼくは、香港で着た絵の具の塗られた服が背中は全く塗られていなかったので、背中を子どもたちに塗ってもらう。子どもたちと直で触れ合わないけど、背中に描いてもらうことで、接触する。対面でコロナ的(若干ディスタンスの)交流。2時間でどんどん絵ができていったぞーー。でも、午前のワークショップが終わった後、展示できるように、荒井さんが塗れていないところに手を加えてたり、塗りすぎて乾かないところを拭ったり、アフターケア大変で、お昼も食べずに仕事する荒井良二(ぼくは一人でランチ)。

 

午後は、楽器を鳴らす2時間。タンバリンの上手な男の子のビートにのせて楽器を鳴らしたり。ぼくもピアノをガンガン弾いて、子どもたちの楽器とセッションした。ピアノ弾いて手が足りなくなって、スタッフの鴻巣さんに合図の役をお願いしたり。雨が降ってくる場面、月オルガンの場面など。。絵本の「たいようオルガン」では、ゾウバスが旅をしていく。だから、途中で旅に出たくなって、リハーサル室から練り歩く。通路を歩き、ホールに移動。ホールの中でも楽器を鳴らすと、子どもたちは客席の椅子に座って気持ちよさそう。「ゾウバスの座席だよーー」、「のりたい人、手をあげて!」、「はーい。」。みんなで記念撮影しながら、旅は続く。外に出て、噴水の前でも写真撮影。外も練り歩く。リハーサル室に戻る。ピアノ運搬用の台車がある。これがゾウバスになって、交代で台車に乗って、ゾウバス走る。ぼくが台車を押していたら、オルガニストの石丸由佳さんがピアノで弾いてくれる「ゾウバストッカータ」。ゾウバスはしるー。道、せまい。道、ほそい。道、でこぼこ。

 

こうしてワークショップの時間が終わって、家族の方々が集まって、ミニ発表会。太鼓を叩きまくったり、パフパフと鳴らしていたりする演奏も、やみくもにやっているようで、いつの間にか微妙に表情がついたりニュアンスがついている。何にも指導してなくても、子どもたちは勝手に上達していったり、表現の仕方を発見していくのだ。絵の前で記念撮影やサイン会などの後、解散。

 

夜は、絵の展示と明日のコンサートへのリハーサル。ソプラノの小林沙羅さんも到着。水戸芸術館のエントランスのパイプオルガンの音色が七変化。石丸さんの演奏と音色の組み合わせが、楽しすぎて素晴らしすぎて色彩豊か。絵本の世界がパイプの音楽に変換されて、超幸せ。そしたら、沙羅さんの歌声がオルガンの音量に負けない天の声みたいに降り注ぐ。教会によくあるオルガン+天使の声のようなソプラノなんだけど、歌われているのは、キリスト教の聖歌じゃなくって、「賛美歌くさはえてる」だったり、「はたけある音頭」だったり。そんな世界の片隅の何の変哲もない雑草とかを愛でる天から降り注ぐ美しい歌声とオルガンの響きに、もうぐっときちゃって、作曲者としては感無量。企画した高巣真樹さん、芸術監督の中村晃さん、芸術館スタッフの方々、音響の技術者の方々、本当に感謝、感謝。明日の本番が楽しみすぎる。

 

ホテルに戻ったものの、荒井さんと二人でプチ打ち上げ。荒井さんの絵本『たいようオルガン』から、野村の楽譜『たいようオルガン』ができて、こうしてコンサート『たいようオルガン』ができると、これを発展させた舞台『たいようオルガン』になってもいいよね。というか、荒井さんが空間作ったら、インスタレーションしたら、絵本の世界が立体的に飛び出した空間できるし、そういうのできたらいいのになぁ。夢が膨らんでいく。ゾウバスはしる〜〜〜〜。るるるる〜〜〜〜〜。泣けるなぁ

 

www.arttowermito.or.jp

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ブライアン・イーノ展/水戸芸術館に来ました/荒井良二さんと準備中

ブライアン・イーノの展覧会BRIAN ENO AMBIENT KYOTOに行く。そう言えば、最近イーノに関する本を読んだなぁ、と思って日記を見返したら、3年前だった。時間の流れは速い!

 

makotonomura.hatenablog.com

 

時間の流れは速いと書いたが、イーノの音と光による展覧会は、空間芸術であると同時に時間芸術であった。そして、その時間の流れは、常に微細な変化で、ぼーっとしていると変化していないようであるのに、少し時間が経過すると全く別世界に移行していく。夕焼けを見ているうちに、いつの間にか日が暮れているような作品。雲を見ていると、いつの間にか違う形になっているような作品。子どもがいつの間にか大人になり、いつの間にか老人になり、いつの間にか死んでしまうような悠久の時間のような瞬間の時間のような作品だった。

 

ambientkyoto.com

 

その後、水戸芸術館に移動。荒井良二さんとの明日のワークショップに向けての準備。学芸員の高巣さん、芸術監督の中村さん、スタッフの鴻巣さん、高木さん。防火シートという建物の壁の内側などに使うものに絵の具で描く予定で、防火シートをどんなサイズで使うかとか、明日、ワークショップ後、エントランスホールにどのように設置するか、など実験。水戸芸術館の倉庫の中に筆を探しに行き、(美術部門の森山さんが色々見せてくれて)線路まであって、線路は金属でなかなかいい音がするので、お借りする。ぼくは『ガチャ・コン音楽祭』をやっているので(ガチャコン=近江鉄道の愛称)、線路に興味がないわけがない。

 

その後は、荒井さんと、塔本シスコのこと、世田谷美術館の収蔵品から荒井さんがセレクトした展覧会を準備中であること、肥後琵琶のことなどなどをお話する。世田谷美術館の企画、面白そう。荒井さんがどんな作品を選んだのか興味深い。ホテルにチェックインした際に、オルガニストの石丸由佳さんとも再会。明後日のコンサートもすごく楽しみ。

 

www.setagayaartmuseum.or.jp

 

 

山本啓さんのスタジオ訪問

京都に移動。ヴァイオリニストの山本啓さんのスタジオにお邪魔する。『ガチャ・コン音楽祭vol.2』に関わっていただくアーティスト。インストバンドNABOWAで活動するほか、ソロでも活動。滋賀県守山市在住。

 

www.youtube.com

 

古いビルの最上階に隠れ家のようにあるスタジオには、ピアノや様々な楽器、音響機器、ソファ、機材、書棚と本、などなどがある。巨大なスピーカーは閉店になったレコード屋さんからもらったそうで、ピアノのソファも、もらいものとのこと。音楽を聴いたり、色々なお話をして後、ピアノとヴァイオリンでセッションをした。さまざまな音楽の経験があるので、こちらがどのようにピアノを弾いても、ヴァイオリンがいい感じで応えてくれて音楽が展開していく。実は、啓さんはピアノの音色が大好きなのだそうだ。そして、アンビエントテクノをするピアニストの動画を何人も見せていただく。ピアノに近接マイクでハンマーの動く音まで聴かせる。京都のピアニストYatchiくんのことを思い出す。

 

www.youtube.com

 

結局4時間以上、スタジオで話し込む。実際にお話して、啓(ひらく)さんの考えや音楽観などの一端がイメージできた。彼の魅力にもっと触れたい。これからが楽しみだし10月のライブが楽しみ。今年の『ガチャ・コン音楽祭』では、昨年とは違った魅力を出せると確信できた。ワクワク。

 

biwako-arts.or.jp