野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ゾウバスはしる〜〜〜〜〜〜。るるるる〜〜〜〜〜〜〜@水戸芸術館

水戸芸術館での長い一日。荒井良二さんとのワークショップ。小学生1〜3年生22人と。『たいようオルガンの世界』。

絵の具塗りまくりの午前中2時間。0.9mx10mの長い巻物の絵を2枚、合計20m塗りまくった。ぼくは、香港で着た絵の具の塗られた服が背中は全く塗られていなかったので、背中を子どもたちに塗ってもらう。子どもたちと直で触れ合わないけど、背中に描いてもらうことで、接触する。対面でコロナ的(若干ディスタンスの)交流。2時間でどんどん絵ができていったぞーー。でも、午前のワークショップが終わった後、展示できるように、荒井さんが塗れていないところに手を加えてたり、塗りすぎて乾かないところを拭ったり、アフターケア大変で、お昼も食べずに仕事する荒井良二(ぼくは一人でランチ)。

 

午後は、楽器を鳴らす2時間。タンバリンの上手な男の子のビートにのせて楽器を鳴らしたり。ぼくもピアノをガンガン弾いて、子どもたちの楽器とセッションした。ピアノ弾いて手が足りなくなって、スタッフの鴻巣さんに合図の役をお願いしたり。雨が降ってくる場面、月オルガンの場面など。。絵本の「たいようオルガン」では、ゾウバスが旅をしていく。だから、途中で旅に出たくなって、リハーサル室から練り歩く。通路を歩き、ホールに移動。ホールの中でも楽器を鳴らすと、子どもたちは客席の椅子に座って気持ちよさそう。「ゾウバスの座席だよーー」、「のりたい人、手をあげて!」、「はーい。」。みんなで記念撮影しながら、旅は続く。外に出て、噴水の前でも写真撮影。外も練り歩く。リハーサル室に戻る。ピアノ運搬用の台車がある。これがゾウバスになって、交代で台車に乗って、ゾウバス走る。ぼくが台車を押していたら、オルガニストの石丸由佳さんがピアノで弾いてくれる「ゾウバストッカータ」。ゾウバスはしるー。道、せまい。道、ほそい。道、でこぼこ。

 

こうしてワークショップの時間が終わって、家族の方々が集まって、ミニ発表会。太鼓を叩きまくったり、パフパフと鳴らしていたりする演奏も、やみくもにやっているようで、いつの間にか微妙に表情がついたりニュアンスがついている。何にも指導してなくても、子どもたちは勝手に上達していったり、表現の仕方を発見していくのだ。絵の前で記念撮影やサイン会などの後、解散。

 

夜は、絵の展示と明日のコンサートへのリハーサル。ソプラノの小林沙羅さんも到着。水戸芸術館のエントランスのパイプオルガンの音色が七変化。石丸さんの演奏と音色の組み合わせが、楽しすぎて素晴らしすぎて色彩豊か。絵本の世界がパイプの音楽に変換されて、超幸せ。そしたら、沙羅さんの歌声がオルガンの音量に負けない天の声みたいに降り注ぐ。教会によくあるオルガン+天使の声のようなソプラノなんだけど、歌われているのは、キリスト教の聖歌じゃなくって、「賛美歌くさはえてる」だったり、「はたけある音頭」だったり。そんな世界の片隅の何の変哲もない雑草とかを愛でる天から降り注ぐ美しい歌声とオルガンの響きに、もうぐっときちゃって、作曲者としては感無量。企画した高巣真樹さん、芸術監督の中村晃さん、芸術館スタッフの方々、音響の技術者の方々、本当に感謝、感謝。明日の本番が楽しみすぎる。

 

ホテルに戻ったものの、荒井さんと二人でプチ打ち上げ。荒井さんの絵本『たいようオルガン』から、野村の楽譜『たいようオルガン』ができて、こうしてコンサート『たいようオルガン』ができると、これを発展させた舞台『たいようオルガン』になってもいいよね。というか、荒井さんが空間作ったら、インスタレーションしたら、絵本の世界が立体的に飛び出した空間できるし、そういうのできたらいいのになぁ。夢が膨らんでいく。ゾウバスはしる〜〜〜〜。るるるる〜〜〜〜〜。泣けるなぁ

 

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