野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ミュシャミュシャ・モシャモシャ・ミュージック/オハイエ音楽隊3回目

熊本市現代美術館での3月31日のワークショップ『ミュシャミュシャ・モシャモシャ・ミュージック』の打ち合わせを里村真理さんとする。

 

 現代美術館の以前カフェだったスペースを現在はアートラボマーケットと呼称している。この日のアートラボマーケットは、野村誠一日店長、一日駅長みたいな感じで、野村誠の部屋となる。営業時間は、13:00-17:00。初登場なので混み具合にもよるので読めないが、短時間滞在も長居もできるはず。同時開催の企画展「ミュシャ展」、さらには、この日が最終日の山内光枝さんの長編映像の上映もやっているし、タレルやアブラモビッチの作品が常設されている充実の図書コーナーもあるので、丸一日この美術館だけでも遊べるかも。
 
ぼくが考えるアートラボマーケットは、アートの実験室で(ラボ)、それは閉ざされた実験室ではなく、路地を歩くと露店(マーケット)に突然出会うようなストリート感覚の場。美術館と言えば、何年も前から周到に調査をし準備をして開催される展覧会のイメージが強いが、現代美術館の「現代」の側面に着眼すると、朝採りの野菜のような鮮度、今釣ったばかりの魚のような鮮度のアートと出会う場を作ること。それは、言ってみたら作品化される前の未完成のもの、不定形、、、。
 
だから、パッケージされたプログラムとか、やんないよ!今まだ実がなっていないのに、31日の朝に結実したようなことをシェアするのが理想(その上で、里村さんと打ち合わせして、周到に準備した!)。その日の朝に収穫した新しい着想も登場するかもしれない。そういう場を目指して臨むつもり。ミュシャ、模写、音楽、そして、その向こうへ。採れたてで臨むので、気軽にお訪ねください。5分の滞在でも数時間の滞在でも楽しんでいただける場になることを目論んでおりまーーーす。

 

現在、熊本市現代美術館でミュシャ展をしていることと、以前カフェだったスペースを現在はアート・ラボ・マーケットと呼称していて、そこは、アートの実験室であり(アートラボ)、しかも、それは閉ざされた実験室ではなく、路地を歩いていると露店(マーケット)に突然出会うようにアートと出会うストリート感覚の場なのだ。美術館の企画展と言えば、何年も前から周到に調査をし準備をして開催され、それはもちろん必要なことなのだが、しかし、現代美術の「現代」というところに着眼したら、朝採りの野菜のような鮮度の、今釣ったばかりの魚のような鮮度でアートと出会う、という思いから始まったであろうスペースが、アートラボマーケットであると、ぼくは理解した。

 

つまり、ここでやることは、そもそもパッケージ化されたプログラムなどであってはいけないのだ。少し前の自分が見つけたことを皆さんとシェアする場では決してない。今、アーティストが取り組んでいる課題から、今朝収穫したばかりの着想を持ち込むようなこと。だから、今日、結構、打ち合わせして、それで準備物とかも相談したけど、当然、その日の朝に収穫した新しい着想も登場するかもしれない。そういう場を目指して臨もうと思った。現時点でのアイディアは、ミュシャ、模写、音楽、ということを結ぶ方法で、これは、3月31日の13時に始まった段階から、どんどんアップデイトされて変化していくはず。そこもお楽しみに。

 

『オハイエくまもと』との3回目のワークショップ。今、ぼくがやっていることは、33人のオハイエ音楽隊メンバーと、15人のオハイエ指導者の顔と名前を、それぞれの個性や音楽的な資質とともに覚えていくことだ。50人もいると、なかなか一度や二度では覚えられない。でも、今日も何人も覚えた(以下、何人かニックネームを登場させるけど、もちろん、ここに書ききれない色んな個性がいる)。

 

今日は、トーンチャイムを準備してもらったので、トーンチャイムを一人一つ手にとって演奏してみるところから始めた。トーンチャイムは持続音なのにトーンクラスターになっても独特なハーモニーが美しく響く。これだけで相当よい。あらき先生が「(スティールパン風の)パンドラムがあるけど、これも入れてもいいですか?」と言うので、どうぞどうぞと加わる。こういうことをすると、変わって奏法を発見してしまう人が現れる。ドラムの達人そうた君の編み出したポコポコ奏法。すると、そこから木魚を連想するのか、いっこさんが「なーむ、なーむ、なーむ」と言う。この「なーむ、なーむ、なーむ」のリズムでトーンチャイムを鳴らすのも良い。

 

《なんでもすき》やろう、と声があがる。初回に生まれた曲だが、既に定番のレパートリーとして認知されている。トーンチャイムを片付け、各自が楽器を持つ。すると、いっこさんが木琴を叩いている姿があまりにも自由だったので、木琴パートだけで演奏する場面を作ってみた。いっこさんの自由なアドリブと、ななえさんの渋い演奏のデュオにぼくがピアノで伴奏する。なかなか良い。

 

(ノリノリでウクレレを弾く)ゆうほ君がウクレレをソロで弾く場面も作った。最初はおそるおそるだったが、何度も繰り返すうちに、ノリノリの動きが出てきて、こちらも自由さに溢れる演奏。たかし君は、鍵盤ハーモニカの名人。ソロでメロディーも吹いてもらった。ひろみちゃんはラップ担当。マイクを使ってラップをしてもらう。あすかちゃんらが提案した歌詞「みんなで盛り上がろう、へいへいわっしょいしょい」を、ひろみちゃんがラップしたら、歌のようなメロディーに変形した。

 

ラップの歌詞で、「オハイエ」を入れようとあった。「オハイエ」は、もともと「おはよう、いぇー」を略して生まれた言葉らしいが、

 

お:おんがく

は:ハーモニー

い:いつも

え:えがおで エンジョイ

 

となったので、みんなで言ったり、言いながら動きもつけてみる。

 

あらのお君、けいすけ君、ゆうちゃんなど複数から成るカホン隊の伸び伸びしたリズムセクション、そうた君の安定したドラム、くめちゃん、なかしまさん、などマラカス、タンバリンなどのパーカッションセクションも良い感じ。あすかちゃん、さやかちゃんらのキーボード隊も簡単なコードやフレーズを弾いてくれていて、これはキーボードの音色選びも含めて楽しい。

 

休憩時間には、あいちゃんの大正琴演奏を聞かせてもらったり、けいすけ君ジェンベとそうた君ボンゴの太鼓セッションも白熱している。

 

前回フラメンコ風の動きとリズムを考えたひろこさんが欠席で、その動きから「かごめかごめ」を連想し、「かごめかごめ」やりたい、と声があがる。すると「はないちもんめ」をやりたい、と声があがる。ウチガシマさんから「はないちもんめ」がいじめなどにつながるから教育現場でNGになっている遊びとのアドバイスも出るが、そのことも踏まえつつ、「はないちもんめ」の遊びの動きをやってみる。楽器の演奏に合わせて動きだけやってみても、なかなか面白い。じゃんけんした後に、歌舞伎の見栄を切るのをつないでみる。

 

2時間のワークショップの後、指導者の方々へのワークショップ&打ち合わせも90分。実際に音を出してみたり、アドリブしてもらったり、譜面をやってもらったりすることで、ワークショップの進め方やメンバーとの関わり方のことなども、意見交換の引き金にもなって良い時間。