野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

宿題あしたやる

本日は、ギタリストの勝野タカシさんとのシリーズ「宿題とあそび」の7回目で、ゲストは「たゆたう」というグループで活動するヴァイオリニストのイガキアキコさん。

本日の新曲は、イガキさんの「宿題あしたやる」という曲で、夏休みに「宿題あしたやる」と40日言い続けると夏休みが終わってしまうことから、「宿題あしたやる」という言葉を曲の中で40回唱え、このリズムにのった5拍子になったり、11拍子になったりする変拍子のメロディーとコードと、そしてアドリブという曲で、こう書くと、なんだかヤヤコしそうな曲に聞こえますが、演奏するのはヤヤコしいかもしれませんが、まあ何と感覚的で喜びに溢れた音楽であることか、をやったりしました。

勝野さんが非常に柔軟で自由な演奏家であることは、これまでのセッションの中で知っていましたが、イガキさんが、さすが勝野さんのお友達。まぁ、本当に、柔らかく、力強い演奏をするので、共演できて楽しかった。ギターとヴァイオリンとピアノというトリオは、27年前pou-fouを結成する時がそうでした。最初、ギターの豊永亮さんとデュオをしていて、そこにヴァイオリンの澤民樹くんを誘い、トリオになった。ここにパーカッションのBob Barazzaが入って、pou-fouになった(翌年にはホルンの小林薫さんが加わった)。だから演奏していて、ちょっとだけpou-fouのことを思い出した。また、このトリオやりたいな。「宿題あしたやる」を今度またやりたい。

即興をしていて、途中で言葉が出てきて、「宿題あしたやる」に触発されて、(原発など)山盛りな宿題を、ぼくらは来世に持ち越しなんだなぁ、でも、全部、現世でやりきれないし、宿題だけで人生終わったらダメなんだなぁ、遊ぶのも大切なんだなぁ、そして、遊ぶ中に宿題のヒントもあるんだろうなぁ、などとも思った。

勝野さんの新曲「うつわ」もあり、即興もあり。客席に8歳の少年がいて、最前列で聞いてくれる上で、曲が終わると、他の観客に拍手を促し、曲間では(野村が弾くつもりで持って行った)トイピアノを弾き始めたり、非常に自由です。あまりにも自由なので、彼の弾く「むすんでひらいて」とセッションする曲も急遽やりました。また、お母さんの携帯を使って、少年は我々の演奏を最前列で録音し、演奏が終わった直後に、最前列で再生をする。自分たちの演奏を、客席でプレイバックされる時代が来たのかぁと、感嘆。

そうしたら、小中学生の頃、浜松で野村の音楽によく出会っていたという人が、客席にいて、10年ぶりくらいで再会した。子どもは10年経つと大人になるので、大人になっておられて、色々、懐かしいお話もしました。再会できることは、幸せなことだ、と思った。