遠征が終わり自宅でくつろぎ、音楽したり、数学したり。里村さんに、数学のどんなところが好きなのか、と聞かれて、「えーっ、そうなるのーー?と、びっくりするところ」と答える。新しい概念を提示されると、最初は「なんで、こんなこと考えるの?わけわかんない」と思うけど、その概念を使って、「なんでそうなるの?」と思えるほどの驚きの定理に出会うので、「うわぁ、こんな凄いのが出てくるんだ」と納得させられる。数学の証明で取るべき手続きは論理なんだけど、論理だけでは到達できないような柔軟な発想で切り拓かれてきた分野だから、そこが好きなんだろうし、時々数学に触れていると、自由に発想する精神が注入される感じで楽しい。
Bill Alves and Brett Campbell『Lou Harrison -American Music Maverick』(Indiana University Press, 2017)を読了。初期のケージとの打楽器アンサンブル、純正律への探求、創作楽器、エスペラントや手話を学び、アジアの音楽ののめり込み、即興の名手で、ガムランの作品を多数作曲し、晩年には家の建築にまで取り組んだ。本文だけで443ページで全部で583ページもある分厚い本だけど、読みやすい伝記(以下は、シェーンベルクとの最後のレッスン)。
At his last lesson with Schoenberg, Harrison told his mentor that he was moving to New York.
"Why are you going?" the old man asked.
"Well, I don't really know," the twenty-six year-old Harrison replied.
"I know you're going for fame and fortune," Schoenberg said. "And good luck."
Harrison thanked him and rose to leave.
"Don't study with anybody; you don't need to study with anybody," his teacher told him. "Study only Mozart."
https://www.amazon.co.jp/Lou-Harrison-American-Musical-Maverick/dp/0253026156
こちらは、2017年に作曲した《ルー・ハリソンへのオマージュ》