野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

福田美蘭/門限ズの馬方弁天方式ワークショップ/

名古屋市美術館のすぐ近くのホテルに泊まり、朝の開館と同時に福田美蘭展を見に行く。「美術って、なに?」という副題だけど、「絵画って、なに?」とも思う。21世紀に平面で作品をつくること、しかも写真や映像ではなく、絵画で作品をつくる意味を、いっぱい考える。同じ絵画でも、荒井良二さんと福田美蘭さんでは、全然違うけど、絵画だから実現できることがある。名画や政治家などシンボリックなモチーフを巧みに用いる独自の美術。駆け足で展示を見てから、豊橋へ。

art-museum.city.nagoya.jp

 

ドラム、ベース、ギター、ボーカルと全く違う楽器のミュージシャンが集まってロックバンドをつくるように、ダンス、演劇、音楽、アーツマネジメントと違うジャンルが集まってクロスジャンルのバンドを作ってみようと、2008年に門限ズを結成した。本日は、愛知大学で門限ズのワークショップ。

 

mongens.wixsite.com

 

門限ズでは、3月に豊川稲荷門前町で、『あっちこっち de 門前ズ!?』を開催して以来。その時は、地元の人々50名ほどのメンバーが、音楽、演劇、ダンスチームに分かれて、門前町でパフォーマンスをし、フィナーレでは全部合体した。その時の冒頭、門限ズだけで、地元の民話《馬方弁天》を題材にパフォーマンスした際に編み出した方法が面白かったので、これを「馬方弁天方式」と名づけ、今回、「馬方弁天方式」でワークショップをしてみた。テキストは、夏目漱石の『吾輩は猫である』の冒頭を題材にやってみた。

 

門限ズだけで「馬方弁天方式」をやると、それぞれのスペシャリストが次々に出てきた面白さがあったが、ワークショップで「馬方弁天方式」をやると、専門家でない学生たちが、それぞれの分野に取り組んでいく面白さ。例えば、ぼくが担当した「音楽」のワークショップでは、最初、楽器でニャーニャーと鳴くのを表現しようとした学生たちは、各自がスマホで猫の鳴き声の音源を鳴らす、という方法を見つけた。楽器を鳴らしている中から、スマホからの猫の声が出てきて、また楽器で終わる、という流れが面白い。

 

夜は、九州大学の長津結一郎さん、豊橋の劇場PLATの吉川さん、塩見さん、大橋さん、加賀さんと、門限ズで打ち合わせ。視覚障害者、聴覚障害者を招いて、劇場体験ツアーを行う、というもの。長津さん、吉野さんの共同研究をPLATで、門限ズ、ボーイズが演じて実施しようという計画。