野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

フリーリードの古井戸

本日は、楽しみにしていたライブ『フリーリードの古井戸』@延命院。

 

鍵盤ハーモニカ、笙、ハーモニカ、アコーディオンケーン、ハルモニウムなどの楽器は、フリーリード楽器と分類される。今回、同じフリーリード楽器の笙のカニササレアヤコさんと鍵盤ハーモニカの南川朱生さんと野村によるトリオライブが実現。

 

南川さんは、今年『鍵盤ハーモニカの本』という素晴らしい本を春秋社から上梓されている。楽器の演奏の話ではなく、この不思議な楽器がどうしてこの世の中に誕生して、どんな風に伝わったりしてきたか、という歴史や背景を物語る本で、ある意味「鍵盤ハーモニカの物語」の本で、超おすすめなので、まだ読んでない人は是非読んで欲しい。

 

www.shunjusha.co.jp

 

で、今日のイベント、『フリーリードの古井戸』。

 

フリーリード → フルイーイード → 古井戸 → フルイド → fluid

 

と音韻連想されるのが、fluid(流動的)という言葉だったんだけど、今日の演奏は固体ではなく流体だった。そして、3人のフリーリード奏者は、本当にフリーな人たちだった。

 

これまでの人生で、ぼくは型がないと不安になってしまう音楽家にいっぱい出会った。その気持ちも分かる。枠を決めてくれないと困ると言われれば、喜んで枠を設定したし、楽譜だって喜んで書いた。でも、ピアノニマスさんとカニササレアヤコさんには、枠は要らない。枠がないことを自然に楽しんで遊んで(演奏して)くれる。

 

今日のライブ、楽器に加えて、鳴くぬいぐるみ、拡声器など、(古典的な)楽器ではない楽器も登場し、最初は厳かに座って始まったけど、走ったり、ひっくり返ったり、お尻や足でも演奏したり、声を出したり。音楽はずっと流動的だった。『フリーリードの古井戸』は、今日のイベント名だと思っていたけど、このトリオを指しているようにも思った。

 

野村作品の《みそラーメン食べ放題》(2005/2023)もやった。18年前の曲が、また新しい形で蘇った。久しぶりにバスケンハモをアンサンブルで吹いて(鈴木潤さんがいつもバスをやるから、P-ブロッでも鍵ハモトリオでも、低音担当しなかったから)、それも新鮮だった。モンセラートの曲もやった。笙とアルトケンハモとバスケンハモでユニゾンも楽しい。雅楽の盤渉調の曲から始まるセッションは、70分近く澱むことなく流れて行った。ケーンも少し吹いた(+吸った)よー。

 

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ということで楽しきライブ。天気も心配されたけど大丈夫で、全く覗けなかった骨董市も楽しそうだった。南川さん、アヤコさん、おつかれさまーー。

 

来週は、いよいよ滋賀の『ガチャ・コン音楽祭Vol.3』。9月18日の公演に向けてのクリエーション。永尾美久さんが公演当日のパンフのデザインを考えてくれてて、さすが、楽しい感じになってきてる。書く、書く、と言いながら、ずっと書いてなかったテキスト、ようやく書けたー。

 

biwako-mingle.art