野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ナンティ・べバース/チェロ特殊奏法100/5年前を思い出す

チェロとコントラバスの新曲のタイトルを考え中で、インドネシア語でNanti Bebas(ナンティ・べバース)というタイトルを思いつく。nanti=あと、bebas=自由で、あとは自由という意味。インドネシアでMemet Chairul Slametとコラボレーションした時に、メメットが始まり方や途中まで指示した後に、Nanti bebas(その後は自由)、と言ったことを思い出して。何の指示もなく、いきなり自由と言われても何をしていいか分からないけど、ディレクションされた後、続きは自由と言われると、その流れに乗って(または逆らって)自分が何をしたいのかが見えてきやすい。結構、五線譜で書いて、ところどころ、アドリブの場面を作ってみて、メメットのことを思い出した。

 

チェロの山澤慧さんが、チェロの特殊奏法100というのをツイッターでアップしているのを知り、順番に見ていく。面白い人だなぁ。

 

里村さんが仕事が休みなので、ゴミ捨てや買い物や家の掃除や片付けや料理など、色々一緒に家事をする。ちょっと模様替え。雑談の中で5年前の今頃と現在を比較した。

 

5年前は安倍政権が長期で続き、自民党の総裁の任期を変えてまで継続し、独裁に拍車がかかっているように感じていた。東京はオリンピックバブルで、2020年に向かって突っ走っている感があり、2021年以後の展望が全然見えない感じがした。SNSで効果的にバズるインフルエンサーの発言が影響力を持ち、以前よりも公演やワークショップなどの対面の場に若い人が出てくるケースが減ってきて、それにどう対応していいのか、分からなかった。5年経って、オリンピックは終わり、安倍政権の時代は終わった。5年前と比べると、対面の場でアクティブな若い人たちに出会うことが増えている、とぼくは体感している。それは、コロナを経験して、実際に会うことの価値を、人々が感じ始めているためのような気がする。だから、5年前の方が、不安感や焦燥感があって、どうアクションを起こすべきかが分からなかった。今は、地道に一つずつやっていこう、と思えている。5年後、どんな気持ちで還暦を迎えているのだろう?