野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

小沼純一作曲論集成/ホセ・マセダ/竹野相撲甚句

注文していた小沼純一さんの本が届く。1000ページほどある辞典のような本で、実際に第1部は、作曲家A-Zとなっていて、辞書のように作曲家を見れる。

 

artespublishing.com

 

でも、これは決して辞書ではない。作曲家を網羅しているわけではなく、小沼さんの40年間の思考をたどる本だ。彼がインタビューしたり原稿を書いた作曲家が登場してくる。作曲家により1〜2ページのこともあれば、10ページ以上に及ぶこともある(アラン・ホヴァネスについて16ページも割いてある日本語の本って他にないんじゃないかな。嬉しい!)。野村誠の項目は10ページ以上あり、しかも《千住の1010人》についても3ページ以上に渡って書かれている。また、20年以上前のインタビューなど、インターネットで見ることができない貴重な記事も多数ある。

 

そして、パラパラめくって思ったのが、この本は、「作曲論」とタイトルにあるけれども、小沼さんの持論が展開されるだけの本では決してない。数多くのインタビューで作曲家の声に耳を傾けている。そして、小沼さんが何かを感じたり考えたりする。それは、時にモヤモヤと言葉になる手前のことも多い。そのモヤモヤの雲から、数々の「問い」が浮かび上がってくる。この「問い」がこの本の一番の魅力だと思う。小沼純一が作曲に関して問い続けてきた40年を味わう本。12000円する本なので、購入する余裕がない方は、図書館で興味のあるところをめくってみるといい。

 

今年の夏に、ホセ・マセダの《ゴングと竹のための音楽》を再演し、ぼくが指揮をするので(初演はマセダが指揮)、25年前の世界初演のビデオを確認しながら、スコアを読む。サロンは音域が違う楽器が3種類しかないのに、マセダのスコアは4オクターブになっているし、当時は実際にどう折り合いをつけていたかを確認。

 

JACSHA(日本相撲聞芸術作曲家協議会)とKIAC(城崎国際アートセンター)で次年度に向けての打ち合わせをした。来年度には、竹野相撲甚句を中学生が吹奏楽で演奏することになりそうだ。