野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

大雪とモヤモヤ

大雪の京都であります。正月は、のんびり過ごしております。「おせち」の語源を考えたこともなかったですが、きっと「お節」なんでしょう。相撲の研究をしていて、「相撲節会」、「相撲節」のことも調べていたので、「節日」という言葉に敏感になったのでしょう。季節の「節」、変わり目の「節」、「節分」、「節会」、「相撲節会」、「相撲節」。「お節料理」があれば、「お節音楽」もあってもいいのだなぁ。

中沢新一の「古代から来た未来人 折口信夫」を読みました。これは、NHKの番組「古代から来た未来人 折口信夫」をベースにした1〜4章や、新たに書き下ろしたものから成り、2008年に出たもののようで、思い入れたっぷりの文章で、一気に読めました。「類化性能」の下りを読んで「だじゃれ音楽」と共通するなぁ、と思ったりしました。その番組の第1回が、YouTubeにもありました。

この本を読んで、中沢新一の思い入れ、折口信夫の目指したことを、モヤモヤと受け取りました。これが、言語になるようなならないようなモヤモヤ。とっても魅力的なモヤモヤ。そのモヤモヤした感じを、言葉でつかまえたい衝動。フィリピンの作曲家/民族音楽学者であるホセ・マセダと話した時、80歳のマセダが、We need new theory of music. と語ったことが印象に残っています。もうあれから18年が経ち、マセダはこの世にいないですが、アジアの音楽の大切な何かを言葉にし、理論化しようという衝動を思い出しました。そのことを、もっと色々な人とシェアしたいと思うからこそ、言語化したい。でも、その本質を言語化しようとすると、うまく捕まえられなかったりして、変質してしまう。だから、曖昧にモヤモヤと感じているのだけれども、でも言語化したい。そうした衝動とモヤモヤ。マセダから託されたバトンを受け取り、自分なりに「相撲/瓦/だじゃれ」の3本柱でモヤモヤをうまく言語で表現できるようになりたい、と夢想します。そんな気持ちになる正月です。


本日は、古本市で「こどもと大相撲」という本を見つけて購入。眺めております。
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