野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

とびだす美術館/モーツァルトとベートーヴェン/どんどん日田どん!/微積分

不知火美術館の里村真理さんの企画で、美術館から町に出る「とびだす美術館」(だったかな?)というプロジェクトのアーティストとして関わっている。それぞれのワークショップでは、不知火美術館の収蔵作品の画像を見せて、音楽にしてみたい作品を選んでもらい、そこから音楽をつくり、それを12月15日から始まる企画展会場で展示していく予定。本日は、延福寺を訪ねての打ち合わせ。毎週水曜日の放課後に子どもたちが集まってくる「寺子屋」の活動をされているとのこと。非常に柔軟で意欲的な浄土真宗のお寺。11月30日に絵を選んで歌づくり、12月7日にレコーディングという予定。ワクワク。

 

ベートーヴェンピアノソナタを毎日少しずつ弾いていて、どの曲もベートーヴェン節でシンプルな主題を執拗に繰り返し展開していくので、モーツァルトを弾いてみたくなって、モーツァルトピアノソナタの楽譜も買ってみた。譜面を弾き始めて驚いた。モーツァルトの譜面は、ベートーヴェンに比べて、すっきりしていて、ベートーヴェンが圧倒的に複雑。同時代の作曲家なんだけど、ベートーヴェンが色々新しいことをしたのだなぁ、と思う。実際にモーツァルトを弾き始めると、またまた驚く。とにかく先が予測できない。ベートーヴェンの場合は、執拗に同じようなことを手を変え品を変え出てくるから、初めて見る曲でも先が読めることが多い。モーツァルトの方は、自然に繋がっているのに、どんどん変わっていくし、その変わり方が意外なことが多くて、全然予測がつかず、いつの間にか風景が変わる。ベートーヴェンはセールスポイントを連呼してくれるので、何を言いたいのか明白で、モーツァルトは軽やかにどんどん変化していくので、瞬間瞬間を楽しむお喋りのようで、気がつくと何の話してましたっけ?となる。あまりに好対照だ。毎朝の日課として、ベートーヴェンモーツァルトを一曲ずつ弾くというのを、しばらくはやってみようと思う。

 

打ち合わせから帰った後は、《どんどん日田どん!》の上演台本みたいなものを作成する作業をしてた。日田祇園囃子のフレーズを、他の曲の中にどうやって忍ばせていくのかを、いろいろ試行錯誤。本番は、1月29日@パトリア日田

 

台本作業が煮詰まると、息抜きに数学をする。昨年、里村さんが学芸員資格を取得するために、仕事が終わった後の夜などに、通信教育で授業を受けていた。おそらく、そうやって勉強するのが羨ましくて、ぼくも大学の授業受けたいと思った時に、数学を勉強したくなり、今年になって、YouTubeで数学の授業を探して見てた。でも、大学の講義よりもYouTuberの講義動画の方が面白く、大学の講義はあまり見なくなっていた。しかし、非常に明解な大学の講義を見つけた。MITの微積分の講義動画がおすすめ。毎回50分で、ゆっくり大声で話してくれる。授業がめちゃくちゃ上手い。ところどころで、質問も聞くし、要点はすっきりしてるし、何のノートも見てないし、プロだなぁ。微積分学って英語でcalculusって言うと初めて知った。

 

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