野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

常滑にてグレンダ・レオンを演奏

愛知県の常滑に移動。国際芸術祭「あいち2022」でのグレンダ・レオンのインスタレーションを演奏し、その映像を展示期間中(7月30日〜10月10日)に会場で上映するために撮影を行う。グレンダを推薦したのが、美術家の島袋道浩くんで、今回撮影してくれるのが松見拓也さん。松見さんは、contact Gonzoのメンバーで、島袋くんの岡山芸術交流での白鳥の映像を撮影した人でもあるらしい。実はその映像にぼくが音楽をつけたので、実は松見さんと間接的にコラボしていた。

 

ホテルにチェックインの後、展示会場に向かう道中から、既に面白かった。なんだ、この迷路のような細い路地は。常滑日本六古窯の一つ(他の5つは、瀬戸、信楽備前丹波、越前)で、常滑焼で有名だが、実際に足を運ぶと古い街並みと陶芸の工房がある別世界に突入する。何もない駅前の殺風景とは対照的な路地裏の面白さ。

 

グレンダのインスタレーションが素晴らしい。すぐに触って演奏してみたいが撮影の準備が整うまで我慢。撮影時間は他の作家の展示作業を中断してもらうので、15時まではセッティングしたり打ち合わせしたり。グレンダとはzoomでは会っていたが、直接会うのはもちろん初めて。作品について、一生懸命解説してくれる。

 

撮影。島袋くんが、撮影の都合じゃなく演奏したいように演奏したらいいと思う、とディレクションしてくれたので、カメラの都合が考えずに、こちらは自由にグレンダの作品とのファーストコンタクトを楽しんだ。グレンダは音楽家ではないので、彼女が考える形で音が出せる楽器のようなインスタレーションをする。そこに、音楽としての論理が入っていないし、演奏の論理が入っていないので、実際に演奏してみる時に音楽家としてどのようにアプローチするかという面白さがあった。最初のテイクは40分ぶっ通しで、グレンダ作品を演奏。2度目のテイクは、趣向を変えて15分ほどで次々にいろいろ演奏してみた。どんな映像ができあがってくるか楽しみ。

 

できあがった映像は、展覧会場で常時上映され、そこに7月30日の観客を入れてのライブ演奏の映像も加わえた編集を施し、期間中上映される予定。ちなみに、7月30日、31日のライブの予約は、一昨日の16時から受付を始めたのに、既に全公演満席。コロナなのに有難い。

 

グレンダは、ぼくの《根楽》を大変気に入ってくれていて、非常にアーティストとして共感できるところも多く、島袋さん、松見さんと共に楽しく語り合った。