野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Listening to Glenda Leon最終日/一宮会場を鑑賞

国際芸術祭あいち2022のために、常滑に滞在中。今朝も9:30からグレンダ・レオンのインスタレーションを演奏。昨日やらなかった新奏法の発見もあり、またまたグレンダ作品を楽しむ。

 

そして、夕方17:00からの最後の公演も、昨日の反省を踏まえて暑さ対策+空調の音が邪魔にならない、を徹底して開催。最後は、島袋道浩、グレンダ・レオン、シアスターゲイツという客席にいるアーティストたちを呼び込み、即席弦楽四重奏セッションをした。

 

朝公演が9:30-10:00で夕方公演が17:00-17:30なので、7時間の空き時間があったので、今日は、電車で片道1時間かけて、再び一宮まで出かけ、以下の一宮会場の作品を鑑賞した。

 

まず、旧一宮市立中央看護専門学校に行く。5階建のビルで、5階は近藤亜樹のカラフルで大きな絵と、小杉大介のベッドの周りに設置したスピーカーから台詞が流れるインスタレーションがある。小杉さんの作品のクレジットには、千住だじゃれ音楽祭のスタッフでもある屋宜初音さんの名前が制作にあった。

 

4階は、ケイリーン・ウイスキーの映像、枡山和明の絵、西瓜姉妹(ウォーターメロン・シスターズ)の映像がある。西瓜姉妹の映像の一つは、インタラクティブで、画面の前にいるぼくの姿勢を、画面上の姉妹が真似してくれる。なので、ついつい踊ったり、四股を踏んだり、土俵入りをした。

 

3階で、ジャッキー・カルティは、看護学校の記憶の欠片のような展示。続いてのローター・バウムガルテンの作品、特に映像に仰天した。この映像には、《夜の起源(アマゾンの宇宙)》というタイトルがついており、うっかり見ると、ああ、アマゾンの奥地のドキュメンタリーなんだ、と騙されそうな映像。説明を何も読まずに映像をしばらく見て、何かがおかしいと思い、一度、外に出て説明を読み返したら、なんと全てデュッセルドルフ空港の近くのライン川で撮影されたとのこと。その説明を読んだ後、再度、映画を見たのだが、やはり、そうは見えない。すごい。

 

2階には、石黒健一の映像と3Dスキャンとテキストによる作品。一年前に滋賀で見た展示では、映像での水の色が印象に残ったが、今回は映像での夕暮れを演出した色が印象に残った。ちなみに、映像のタイトルは《夕暮れのモーニング》で、夕暮れはイブニングでモーニングではないのだが、東海地方の喫茶店で通称「モーニング」と呼ばれるサービスは、朝だけでなく一日中のところもあり、夕暮れのモーニングという矛盾が生じる。塩田千春の看護学校の記憶に絡むインスタレーションを見て後、許家維(シュウ・ジャウェイ)のVR作品は、要予約らしいことを知らず、会場に入って、VRの機器を装着して鑑賞。この作品は、一宮で鑑賞できるのに、常滑を紹介するVR動画で、常滑に滞在していて一宮に観に来たぼくにとっては、特にヴァーチャルとリアルを繋いでくれる面白い体験だった。

 

1階のニャカロ・マレケのインスタレーションを見て、すぐ隣の旧一宮市スケート場でのアンネ・イムホフのインスタレーションを見る。2017年のヴェネチア・ビエンナーレで評判になったパフォーマンスの要素の強いアーティスト。スケート場が劇場空間に。

 

大宮公園でバリー・マッギーを鑑賞後、駅の方に戻り、オリナス一宮で、奈良美智の絵画、彫刻、トイレ前の壁へのドローイングなど。つむぎロードの公衆トイレで再びバリー・マッギーを鑑賞し、大宮公園と二ヶ所も野外作品かぁと感心。一宮市役所で眞田岳彦のワークショップで作った作品は、制作過程の動画(映像:山城大督)があり、大相撲の横綱の綱を編む様子を思い出した。

 

これで一宮を全部見たと思って帰ってきたが、豊島記念資料館の遠藤薫を見逃していた。

 

常滑に戻りホテルで自転車を借りて、常々での田村友一郎の陶人形が経済会議を行う人形浄瑠璃映像を鑑賞ののち、INAXライブミュージアムで、鯉江良二のチェルノブイリを題材にした陶芸作品などを鑑賞。