野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

あいち2022開幕/足立智美との即興

本日10時に国際芸術祭「あいち2022」が開幕する。ところが、グレンダ・レオンのインスタレーション野村誠が演奏するスペシャルパフォーマンスは、開館前の9:30に開演で、なんと開幕を30分先取り。

 

予約のお客さんが集まり、キュレトリアル・アドバイザーの島袋道浩くんが挨拶。島袋くんとグレンダとのこと、島袋くんと野村のことなど語っての導入。その後、ぼくが入場して、グレンダの作品を演奏。作品と対話し、空間と対話して演奏することができ、楽しい時間だった。10:00にはテープカットがあるから、20分程度で終わらなければいけなかったのだが、自然な流れで濃密な20分が過ぎた。ビジュアルが音になり、音がビジュアルになるグレンダの作品を演奏するのは、本当に楽しい。

 

テープカットを見届けて後、常滑会場の作品を見ていく。土で餅を大量に作ってのデルシー・モレロスのインスタレーション。アフリカの綿の栽培と日本の綿のリサーチに基づくティエリー・ウッスの作品。服部文祥+石川竜一の北海道サバイバル旅行の記録展示、シアスターゲイツのDJと民家と陶芸の新鮮な出会いが、旧丸利陶管で開催。廻船問屋瀧田家では、トゥアン・アンドリュー・グエンのボートピープルを主題にした不思議な映画などがあると同時に、瀧田家の建物や歴史も同時に体験できる。旧急須店舗+旧鮮魚店での尾花賢一は取材に基づいて創作した漫画が現実世界に飛び出してきたようなインスタレーション、旧青木製陶所では黒田大スケの映像などが常滑の陶芸について語る奥では、フロレンシア・サディールのインスタレーションが繰り広げられる。

 

これくらい見たら時間切れで、グレンダとランチの約束をしていたので、ランチをする。グレンダの作品を演奏するので、彼女と話す時間、彼女の好みを理解することは、とても大切。日本のアーティストは、実際に常滑に来てリサーチして作品を作っただろう。一方、海外のアーティストは入国のビザが緩和されてきたのが最近なわけで、来日する前に作品の構想を練っていて、直前に来て一気に作らなければいけない。だから、展示に常滑だから、ここだから、という要素を入れにくい。でも、彼女のお気に入りのビーガンレストランに行ってみて、彼女が3週間の滞在の間に常滑で色々な発見をし、出会いをし、ローカルの人々と交流を重ねてきたことが理解できた。こうした空気感を、少しでもぼくのパフォーマンスに反映させたいと思った。

 

閉館後の17時からのパフォーマンスは、芸術祭の内部関係者やプレス向けのもので、一般参加の受付をしていないものだが、これが予想よりも多くの方々のご来場だった。そして、音楽家足立智美くんも来てくれた。だから、ぼくのソロの後に、足立智美x

野村誠のデュオ即興をやった。もちろん、二人ともグレンダの作品を演奏。足立くんと演奏するのは、実に20年ぶりかもしれないが、お互い即興の経験は豊富だし、不思議なくらい何の不安もなく演奏した。今回とは別に、足立智美x野村誠という企画もありだなぁ。

 

撮影の松見さんは機材を片付けて、京都に帰られ、今夜に映像編集されるとのこと。おつかれさま。島袋くんと初日プチ打ち上げ。