野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

27曲分のタイトルとアイディア/ロンドンからのインタビュー

福岡県春日市の春日ふれあい文化センターのスプリングホールにて、ワークショップ。春日市は今年市政50周年で、50周年に絡めて何をしようかと、担当の樋口美佐子さんと考えて、50周年なのでワークショップで50曲のアイディアを作ることになった。それを野村が夏休みの宿題(ポストワークショップ)として持ち帰って、50曲のピアノ曲集にする構想。樋口さんが産休に入っていて、4月にパトリア日田から転任になった黒田かやさんが担当。春日で企画を考えていた樋口さんがお休みで、日田の企画を練っていた黒田さんと春日の現場を一緒にやっているのが、不思議な状況。樋口さんと黒田さんと一緒にやっている感じ。

 

50曲作るからには、50曲分のタイトルが必要。とりあえず、wikipedia春日市を調べる。牛頸川という川があるらしい。駅は春日原、春日、博多南と3駅ある。神社は春日神社。で、明日は中学生と大人のワークショップだし、午後は高学年のワークショップだから、「春日市」にちなんだ曲と言って伝わると思うのだが、午前の低学年のワークショップで、春日市にちなんだ曲名を子どもたちに考えてもらうために、何と尋ねればいいのか、結構、難しい。とりあえず、小学校が12校あるらしいから、小学校の名前から入るか、と思った。

 

ところが、17人の子どもと対面すると、幼稚園時代の友達と再会したらしく、幼稚園(または保育園)の名前を言ってもらうところから始まった。楽器を鳴らすのが、とにかく楽しそうで、踊りまくる子もいるし、叩きまくる子もいるし、恥ずかしそうな子もいる。ぼくはピアノを鳴らして共演。こうやって、音を出すの楽しい。その後、小学校の名前を紙に書いてもらって、そこにドレミを当てはめてもらったりして、学校名の8曲分のアイディアができた。後半は、子どもたちが知っている場所を聞いていくと、「春日公園」が知っている場所だったようで、「春日公園」のリズムで演奏すると、そこから公園ラッシュ。「ほのぼの広場」、「でこぼこ公園」、「金口池公園」、「白水池公園」、「天田公園」。よく次々に公園の名前が出てくるものだ。ここの公園は長い滑り台があるとか、、、、。公園の曲を次々に6曲作り、最後に春日神社もやって、午前中で15曲分のタイトルとモチーフができた。充実の午前。すごくノリノリに演奏したり踊りまくった子が、普段学校ではおとなしい子でびっくり、と親御さんから(複数)ご報告があったそうで、びっくり。現場は、黒田さんだけでなく、宮田信二課長やホールのスタッフの皆さんが、楽器の消毒をはじめ、様々なケアで入ってくれて快適。

 

午後は、高学年。こちらは、いきなり、「自衛隊」の曲をトーンチャイムを組み合わせて無調なメロディーをつくる。続いて、「静かな市民図書館」はトーンチャイムの高音域だけで作曲。「赤い消防車」は低音と高音のトーンチャイムをミックスして作曲。「警察署」は打楽器のリズムで作曲。もう一曲、打楽器ノリノリで合奏して、これは「夏祭り」になった。

 

休憩後の後半は、個別に作曲して、6曲できあがり、それぞれがこだわりや工夫のメロディーを作ってくれた。残り3分になったけど、せっかくだからパソコン立ち上げて、Sibelius(楽譜浄書ソフト)を開いて、子どもたちに言われる音符をそのまま書き込んで、最後の曲「星空」もできた。午後も2時間フルに作曲しまくった。これだけ目一杯作曲してくれた上に、2時間経っても、飽きるどころか音楽したいオーラを、子どもたちが出し続けていてくれて、こちらも幸せになった。

 

夜は、イギリスの王立音楽院の大学院でコミュニティ・ミュージックについて修士論文を書いている方からリモート取材。日本の高校を卒業後、アメリカやイギリスで学ばれている方とお話するのも、とてもいい時間だった。