野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

橙書店のころちゃん

橙書店に行く。居場所が見つけられるお店。橙書店で、いしいしんじさんの蓄音機のイベント。里村さんが休みだったので、一緒に出かける。昨日も蓄音機聴いたし、と思っていたのに、空間が変わったら全然音が違う。生楽器を演奏する身としては、当然のことだけれども、こんなに音が違うんだ、と録音された音源なのに、音楽との一期一会を楽しむ。いしいさんがレコード一枚一枚を大切に扱い、まごころ込めて音盤を回してくれる。いしいしんじというアクターによって届けられる音楽。音を届けていただき、幸せをシェアしていただき感謝。

 

いしいさんによれば、大友良英さんはセゴビアクラシックギターの超絶演奏を聴いたらギターが弾けなくなるから、「俺の前ではかけないでくれ」と仰られたそうだが、ぼくはもともとギターが弾けない強みで、セゴビアの演奏に触発されて、無伴奏鍵盤ハーモニカだったら、どんな風に弾くかなぁ。左手のピアノだったら、どんなふうに弾くかなぁ、と想像すると、楽器が弾きたくなった。

 

それにしても、録音というのは今という瞬間の空気を冷凍保存して未来に届けてしまう。ぼくは、今この時この場にいる人に向けて音楽をすることが多いけれども、でも、同時に何十年、何百年後の人に向けて音を作っていることも多く、あらためて未来の人々が今日のような感じで集ってくれるんだったら、心を込めて録音したいなぁと、思う。

 

帰り道に野菜の苗を買いまくって、庭に植え付けまくった。こうやって野菜をいっぱい育てたら、少しは二酸化炭素が減るのだろうか?地球温暖化とか、二酸化炭素削減とか、いろいろ分からないことも多いけど、野菜をいっぱい育てたら、美味しい野菜と美味しい酸素がいっぱい味わえるし、そもそも植物を育てたり植物とお話するのが楽しい。