野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

園芸店で思ったこと

里村さんの仕事がお休みだったので、車で少し離れた園芸店に出かけた。植物のことをこよなく愛している店主がいて、一つひとつの植物についての魅力が手書きで書いてある。相談すると、とても丁寧に答えてくださる。本当に植物のことを愛しているのだと思う。

 

以前、愛知県の田原市図書館で『うたう図書館』を開催した時、図書館の司書の方々が本当に本を愛しているのが伝わってきた。本の魅力を伝える手書きのカードなどを見て、本当に本のことを愛しているのだなぁ、と思った。中学生と作った《愚痴の歌》の歌詞に対応する図書館の書籍を選んでもらった時も、さすがと思える選書だった。

 

滋賀で今年も、ディレクターをする。ぼくができることって、ぼくがアートとか音楽をこよなく愛していることを伝えていくこと、芸術の魅力をぼくのオーラで伝えていくことだよなぁ、と思う。この園芸店のおじさんが全くの初心者のぼくらに笑顔で気さくに教えてくださるように。同業者とか業界の人とかとシェアするのも、すごく刺激があるし、マニアックなところまで分かり合えることあって、それもすごく大切で、それを仕掛けることも仕事なんだけど、そっちだけにフォーカスすると、どんどん専門家だけになっていっちゃうので。

 

園芸店に行く時、植物と友達になりたい、と思って行く。でも、ちゃんとお友達になれるだろうか、と不安でもある。植物とお友達になれないと、枯れちゃったり、可哀想なことになりかねない。でも、お友達になりたいから園芸店に行く。劇場とか美術館に来る人だって、アートと友達になりたいと思って、ドキドキして来るのだと思う。でも、理解できなかったらどうしよう、お友達になれなかったらどうしよう、と不安に思って来る人もいるはずだ。友達になる細やかなお手伝いができれば、いいんだろうな、って、園芸店のおじさんの笑顔を見ながら思った。