野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

鍵盤ハーモニカの整理/衝突と共存/相撲と家事

鍵盤ハーモニカの整理、結局、我が家にある(貸し出したりしているものもある)のは全部で35本。改めてリスト化してみて、自分が何を持っていて、どの楽器がどんな状態なのか理解できてよかった。今後、どの楽器を修理し、どの楽器を改造し、どの楽器をどの機会に活用するのかの方針が立てやすくなった。ちょうど一年前に、メルキュールデザールに「ケンハモと現代音楽と私」(五線紙のパンセ|ケンハモと現代音楽と私|野村誠 |)を連載したり、今年の2月に鍵盤ハーモニカ奏者の南川朱生さんとマニアックなライブをしたことで、鍵盤ハーモニカでやりたいアイディアが色々出てきている。

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とにかく、あらゆる戦争をなくしたい。ロシアとウクライナの戦争も、受験戦争も、戦争は大嫌いである。音楽をやってて思うのは、様々な音が混ざり合うことは、決して容易ではないということ。多くの楽器を一斉に鳴らして相乗効果になることは稀で、相殺することの方が多い。ぼくが作曲でやっていることは、同時に成立しないこと、衝突したり相殺してしまうことを、成立させるためのバランスをとったり、緩衝材になるような音を加えたりすること。そのために調整すること。

 

様々な戦争や決裂が起きないように、外交の専門家たちが最大限努力して現代社会はギリギリのところで均衡がとれているに違いないとは思う。ぼくが音楽で実験し続けてきている「共存できない複数の価値観が共鳴するオーケストラ」は、国際政治や外交の話と無縁ではないと思っている。どうやってバランスを維持するのか、対立が相殺や崩壊にならずに共存できるのか、ぼくたちが音楽で実践しているアプローチは、外交の分野でも応用可能と思うけれど、なかなか世の中がそうならず、苦々しい気持ちになる。

 

遠征や作曲などバタバタしていた日々もひと段落し、すっかり庭仕事や家事を楽しむ時間が増えている。大相撲中継を鑑賞しながらだと、仕切りの時間が4分あるので、その間に何か(掃除とか、ピアノとか、皿洗いとか、読書とか、米をとぐとか、メールとか)すると、あっという間に「まったなし」と取り組みが始まり、一番観たら、また何かをして過ごす。一つのことを集中してやりたい時には向かないけど、細々した片付けとか作業は適度に進んでいく。