野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

即興ピアノ/Six Hidden Views of Japanese Music/BnA Alter Museum

大阪に移動。本日予定されていたリハーサルが延期になったので、即興のピアノのレッスンに変更。ピアニスト/作曲家の方に即興ピアノを不定期で教えている。コロナになって中断していて、中断しているうちにぼくが熊本に引っ越してしまったので、2年ぶり。3時間、ほとんど言葉の会話はなしで、ピアノを弾きっぱなし。そのうちの2時間は即興のピアノ連弾。15分くらい野村がケンハモ。野村作曲の《問題行動ショー》の譜面を野村がソロで弾いて、そのあと初見で弾いてもらい、あとは、Alfred Wong編曲のジャワガムランの連弾を初見で弾いた。レッスンというけど、ぼくは何かを教えているのだろうか?少なくとも、言葉では何もアドバイスはしていなくて、一緒に演奏することで、いろいろ伝わっていればいいなぁ、という感じ。

 

William P. Malm著『Six Hidden Views of Japanese Music』読了。日本音楽の6つの秘境と訳せばいいかな。アメリカの日本音楽研究者がアメリカ人向けに書いている日本音楽の紹介なので、説明や切り口が面白い。1章が「小鼓をつくる」で、しかも鼓の胴体の内側がどんな模様で削られているか、みたいなマニアックな話題だったり、2章の「太鼓レッスン」では、スコアなしで口伝で教わることなど、から始まり、扇子をどのように置くかとか、バチの持ち方の美学とか、外国人ならではの視点で色々書いてある。3章で「石橋」を能と歌舞伎で比較し、歌舞伎の連獅子とか能の石橋を起源としたものが色々あるのだなぁと勉強になり、4章で長唄神田祭を実際の祭と長唄の双方から分析し、神田祭に「屋台」という曲があって、ああ、水口囃子の「八妙」だーと結びつき、5章では、長唄の「蓬莱」を4通りの音源で比較分析し、最後の6章で能の「隅田川」とそれに触発されたベンジャミン・ブリテンの《Ciurlew River》を比較して終わる。ブリテンのオペラは、完全に能の隅田川を真似しているので、実際に比較して聞くと面白い。

 

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本来、大阪に泊まる予定だったが、大阪のリハーサルがキャンセルになり、明日が京都だけど、コロナの感染者も増えているので知人宅などに泊まりに行くのも違うなーと思い、急遽京都でホテルを探す。サトムーに紹介してもらい、BnA Alter Museumという各部屋が現代美術作家の作品になっているホテルが、たまたまbooking.comに安くで出ていたので、宿泊してみる。1階入ると京都精華大学の学生のグループ展が開催していて、それも楽しい。フロントで受付して、部屋に行く。真鍋大度さんという方の映像と音のインスタレーションに囲まれて一晩を過ごすことになる。

bnaaltermuseum.com