野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

効率が悪いのが好き/レコーディング

ぼくは効率が悪いのが好きらしい。音まち事務局の西川さんとのミーティングでの一言。昨日、一昨日の「だじゃれ音楽」2daysの振り返り、今後に向けて話した中で出てきた。「効率が悪い」って素晴らしいことじゃないかと思う。効率をよくするために、自動改札機や自動券売機で機械的に処理するけど、人間が一人ずつ切符にスタンプを押してくれて、そのチケットを手渡して受け取る間に少し交わす会話などは、無駄なのかなぁ、という話。移動するのに、常に最短距離で移動するのか、回り道して寄り道して、予想外の買い物してしまうことって、無駄なのだろうか?効率重視だったら、民主主義よりも独裁の方が効率がいい。だって話し合いは時間がかかるけれども、一人が瞬時にYESかNOを判断する方が早い。話し合いでは決まらないことも多い。でも、だらだら話し合って、なかなか結論が出ないということは、結論以外のこと、お互いを理解し合うことなど、目的以外のものも得られている。効率ばかりを優先すると、そうした無駄の豊かさを失ってしまう。効率悪いのバンザーイ!と思う。

 

近藤聖也さんのレコーディング。逗子のホールで。録音はコジマ録音。野村誠作曲の《コントラバスのことば》を収録。演奏は、コントラバス:近藤聖也さん、バリトン:松平敬さん、ヴィオラ・ダ・ガンバ:水野翔子さん。野村の曲には、カーテンコールも付録としてついていて、ソプラノ:薬師寺典子さん、ハープ:吉田瑳矩果さんとの録音は、既に別日に終わっている。これに今日のメンバーで多重録音。さらに、野村も歌と鍵盤ハーモニカで加わった。自分の音痴な歌をレコーディングするのも、なかなか面白い体験。もっと歌を練習しておけばよかったが、慌てて個人練習の後、本番。

 

昨日に続いて水野さんとご一緒。連日、こうやって現場を一緒にすることで、理解が深まることもある。《コントラバスのことば》が千住で演奏される日もあるだろうか?松平さんの表現力はやはり圧倒的。近藤さんは、今日も一日中いろいろな曲をレコーディングしたので、ヘトヘトになっていた。ヘトヘトになったからこそ、最後の力を振り絞った演奏のテンションが出ていた。レコーディングって何回も演奏するし、細かいところにこだわれるから、上達できる機会だ。去年の今頃、ぼくもセンチュリー響とレコーディングやってヘトヘトになったなぁ(以下の野村誠作品集、定価2000円くらいに設定する予定だったのを、できるだけ多くの方に聞いてほしいので、ぼくが500円にしてほしいとお願いして、500円にしてもらっている。フルアルバムのボリュームあり、音質もいいので、まだの方、ぜひ)。

 

zenkoubuntheatre.jp

今日レコーディングやってみて、ぼくの曲には、いろんな要素があるなぁ、と思った。演奏者がみんな声を出したり、歌ったり、歩いたり、拍手があったり。だから、そうした様々な音のバランスをうまく録音するために、結構、緻密に、しかし短時間でよいレコーディングできた。おつかれさま。