野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ミロトの訃報

今年も一年ありがとうございました。インドネシアのダンサー/振付家Miroto Martinusの訃報。2000年に韓国のフェスティバルで一緒になった。その時は初対面なのに同室になって、色々話をした。ミロトのソロダンスもあり、ぼくの鍵盤ハーモニカソロもあったフェスティバルだった。再会したのは2011年にジョグジャで。ミロトから即興ダンスの達人のベン・スハルトさんの話を聞かせてもらったりして、砂連尾理さんと3人で即興をした。ここから、3人の公演を実現しようと模索したが、助成金がゲットできずに夢のままで終わった。オンラインでのコラボが盛んでなかった時代に、テレコラボレーションと言って、日本の砂連尾さん、アメリカのダンサー、韓国のダンサーなどをつないでバーチャルにダンスを共演しようとした。岩手でJCDNの企画で、砂連尾さんと磯島未来さんとコラボをした。最後に会ったのが、2017年1月のジョグジャだった。まだ62歳。若すぎる突然の訃報にショックだ。ご冥福をお祈りしたい。

 

ミロトの訃報で、砂連尾+ミロト+野村の企画が実現できなかったことを、悔しく思う。ミロトさんと佐久間さん、どちらも素晴らしいダンサー/ジャワ舞踊家であるが、ミロトと佐久間さんは、全然違う。しかし、砂連尾+ミロト+野村で、何をしようと思っていたかのことを思い出しながら、2019年に作曲した《問題行動ショー》のピアノパートを弾いていた。自分なりの供養の儀式。弾いていくと、2月の十和田市現代美術館での公演のイメージが湧き上がってきた。だから、企画書を書いた。2月の公演がどんなシーンがあって、どんな公演になるのかを書いた。

 

晦日だから大掃除をしたいところだけど、ミロトの訃報で例年のように大掃除をする12月31日を過ごす気がしなくなった。12月31日は、タイの音楽家Anant Narkkongの誕生日だ。1月1日はインドネシアの音楽家Yohanes Subowoの誕生日だ。コロナでなかなか会えない間に、ぼくたちはまた一つ年齢を重ねていく。人生で残されている時間は有限で、大切な友人たちと会える時に会うこと、やれることはやれる時にやってみること。これからも精一杯、丁寧に、遠慮せずに生きていきたい。

 

みなさん、今年もいろいろありがとう。みなさんにとって、来年も良い年になりますように!

 

こちらは、ミロトが出演しているストラヴィンスキーの兵士の物語。

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