野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

今日の即興

インドネシアのミロト・マルティヌス、砂連尾理さんという二人のダンサーとのコラボレーション継続中。仙台から千葉ユータさん、磯崎未来さんも今回は合流。碁石海岸で、昨日の「浦浜念仏剣舞」をベースにしたパフォーマンスを撮影しました。ここの海岸の石は、本当に丸い独特の石で、その上を歩く音もユニーク。

一昨日から津波の被害の酷かった地域で生活しているので、津波の壮絶さが、想像され、ぞっとします。本当にある一帯から人間の作った物が根こそぎなくなっている光景、ダンプカーやショベルカーが行き来する光景、土が山のように積み上がった光景を見続けています。宿舎にあった漫画「さんてつ 三陸鉄道大震災の記録」を読んだりして、色々感じております。

午後は、越喜来にある「潮目 大津波資料館」に行きたいとミロトが言うので、そこで即興で踊り、演奏し、撮影をしました。でも、撮影というよりも、その場と対話した感じになり、ミロトはダンスを見せるというよりは、祈りを捧げておりました。砂連尾さん、磯島さんも、それぞれの立ち方で、即興をしていました。それは、制作の北本さんをも含めて、各自がその場で感じたように動いておりました。ぼくは、途中で鍵ハモを置き、四股を踏み、気がつくと、津波で流されたピアノ(弦は全て切れてしまったが、響板だけが残っていた)を石でカチカチと演奏していました。そして、再び鍵ハモを手にとった時には、誰かに教わったかのように、突然、メロディーがやってきて、それを奏でていました。それは、古くから伝わる民謡のようであり、砂連尾さんとミロトの踊りを味わいました。