野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ことばとコントラバス → コントラバスとことば

コントラバス奏者の近藤聖也さんの委嘱で、「ことばとコントラバス」という企画のために新曲を作曲することになった。「ことば」ということで、どんなテキストにするかを、半年前からずーっと考えているが、色々なテキストを考えるが、どれもしっくりこない。とりあえず作曲の準備で、今日は一日中、家の掃除をした。全部の部屋に掃除機をかけた。埃っぽい家の空気が、少しずつ清んだ空気になっていく。少しずつ自分を作曲モードにチューニングしていく。

 

今回、言葉はバリトンの松平敬さんが担当してくださる予定。テキストが決まらないので、松平さんの低音デュオの京都公演の動画を見て、歌から発想してみようと考えるが、やはりテキストが確定しない。里村さんに相談にのってもらう。話しているうちに、「ことばとコントラバス」なのではなく、「コントラバスとことば」な気がしてきた。言葉ありきではなく、まずコントラバスの独奏曲として書いていくうちに、コントラバスの音に触発されるように、言葉が生まれてくる、それだったら納得がいく。コントラバスが一人で5分も10分も演奏しても、言葉が生まれてこなかったら、それはそれでいい。曲の最後に一言だけ言葉が入ってもいい。言葉が生まれてくるまで、言葉なしで音だけの世界で作曲してみたらいい、と思えた。コントラバスからどんな言葉が生まれてくるか楽しみだ。

 

 

トム・ジョンソン作曲のコントラバス弾き語り。こんがらがって失敗する曲かな。

www.youtube.com

 

佐原詩音さんが近藤聖也さんに書いた曲は、朗読とコントラバスの曲。ぼくの書く曲は、こんな具体的な物語もなく、はっきりした意味もないに違いない。言葉と音が表裏一体になった「言葉」とコントラバスが一体になる曲になるに違いない。明日から、どんどん作曲しよう。

 

www.youtube.com