野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

西村彰洋が《ロイコクロリディウム》を熱演/それぞれのパイプの声を聞く

水戸芸術館で滞在制作中。パイプオルガンのための作品を作曲中だが、オルガンはエントランスにあるため、開館時間中は使えず、昼間はコンサートホールのピアノのある楽屋で作業をさせていただき、昨日を踏まえて、スコアをどんどん書き換えていく。昼食時に芸術館の中村さんから、かつての野村ワークショップの参加者が、今でも芸術館のコンサートなどに足を運んでくれていると聞き、2002年のワークショップの痕跡とか、2008年のワークショップの痕跡も譜面の中に入り込んできた。

 

その間に、リモートでのリハーサル。ピアニストの西村彰洋くんが7月31日に行うリサイタル(@大阪市大)で、野村の新作《ロイコクロリディウム》を演奏する。これは、ケンハモを2台持った一人の奏者による作品。ケンハモ二刀流で、指を使って鍵盤を弾くことが一切ない曲。

 

夜は、パイプオルガンの全部のパイプの音を聞くことを目標に、パイプ一本ずつの音を聞いていく。様々なパイプを混ぜた荘厳な音色がパイプオルガンの音色だ、と思われていることが多いが、ぼくは一つひとつのパイプの個性に耳を傾けたいと思い、一つずつの特色を聞いていく。それは、ワークショップで参加者一人ひとりの表現に耳を傾ける行為に似ている。足鍵盤の音色を色々確認するだけでも、1時間以上かかった。足鍵盤のパート、ぼくが書いた譜面だと、左足と右足の使用頻度が偏っているなぁ。左と右が均等に出現すると、身体にやさしいよなぁ。不慣れな足を動かしてみると、足鍵盤パートが少しずつ変形してくる。ラッパみたいな音、リコーダーみたいな音、いろんな音がある。結局、18時から開始して、気がつくと21時半。足鍵盤と、2段目の鍵盤と1段目の鍵盤のすべてのパイプの音色を聞いた。まだ、3段目の鍵盤が残っているけれども、明日も作業ができるので、明日にすることに。みっちりオルガンと実験させてもらって幸せ。

 

『ガチャ・コン音楽祭』のチラシのデザイン案が届く。『アジアだじゃれ音Line音楽祭』のデザイン案も届く。チラシを見るとワクワクしてきて、作品づくりに前のめりになれる。でも、今はオルガン。