野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

水戸芸術館のパイプオルガン

水戸芸術館にて滞在制作開始。11月3日に水戸芸術館で行われる「小さな聴き手のためのコンサート」で世界初演になる《たいようオルガン》を作曲中。20分を超える作品は、一応、最後まで書き終えて、今日から水戸芸術館のパイプオルガンで色々試行錯誤をさせていただく。

 

担当学芸員の高巣真樹さん、オルガニストの石丸由佳さんとお会いし、早速、午前中2時間、がっつりオルガンの実験。実際に、ぼくが作曲中に疑問に思ったことや、こんなことはオルガンでどう実現できるのか、という疑問にも、その場で次々と石丸さんがオルガンで実演付きでお答えいただく。幸せすぎる。ぼくが書いてきた曲も、その場で音色を作りながら、どんどん演奏して音に出していただき、感激。会場の残響がありすぎて、成立しないんじゃないか、と思ったところも、意外に大丈夫そうだったり、自分が懸念していて大幅に変更しなければいけないのでは、と思っていた部分は、ほぼ問題なしだった。楽譜の書き方も大丈夫。色々、安心したり、感激したりの午前。

 

リハーサル中に、水戸芸術館の音楽部門の芸術監督の中村晃さんが覗きに来られた。すると、石丸さんが「私、絵本をオルガンでやるのが夢だった、って言ってましたっけ」と仰った。なんと石丸さんは、大学院の修士論文に、絵本をオルガンでやる構想について触れられたそうで、学生時代からの夢が今回の企画で実現して本当に嬉しいとのこと。そんなことを知らずに、高巣さんは今回の企画を石丸さんに選ばれた。数多くいるオルガニストの中で、最適の方を選ばれたのは、高巣さんが石丸さんのテレパシーを受け取ったのかも。

 

午前中の成果が大きかったので、午後は、荒井良二さんの絵本『たいようオルガン』の原画を見せていただく。今回、この絵をスクリーンに投影して、絵を見せながらのコンサートなので、原画が今ここにあるのだ。絵本を毎日眺めてきたが、原画を見ると色合いも違うし、本の枠の外まで絵が描かれているし、やはり感動的。コンサートに合わせて同時開催で原画展もやりたかった、と中村さん。

 

広報用に、石丸さんとの写真撮影や、ビデオ撮影などをして後、石丸さんは新潟に向けて出発。ぼくは、芸術館に残って、オルガンを3時間以上、弾きまくった。オルガンを弾きなれないので、右手、左手は、なんとかなるのだが、足鍵盤はどうにもならず、色々響きを確認するのに、足があっち行ったり、こっち行ったり、これで腰痛にならないオルガニストの健康法も知りたい。足が筋肉痛になりそうだ。

 

以下の水戸芸術館の告知ページにある画像も、よく見ると、絵本原画を撮影したもので、トンボ(本の枠を決める線)の線が見える。もちろん、実物はすごいのだが、ちょっとその雰囲気を味わってみたい方は、以下のリンクへGO。

 

www.arttowermito.or.jp