野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ガチャコン打楽器/のびのび《たいようオルガン》/コ ト バ コントラバス

びわ湖・アーティスツ・みんぐる2021「ガチャ・コン音楽祭」のプロジェクトディレクターをしていて、滋賀の貴生川ー米原間を走る近江鉄道は、ガチャコンの愛称で県民からも愛されている。ガチャコン、ガチャコンと、なかなかノイジーな電車なのだ。ガチャコンというくらいだから、打楽器やりたい。滋賀在住の打楽器奏者の宮本妥子さんとは、何かでご一緒したいと思っていたが、ようやくチャンスが訪れた。ということで、宮本さんと打ち合わせ。ドイツのフライブルグに留学時代に、即興をいっぱいやったという宮本さん。先日も、シュトックハウゼンの《コンタクテ》を素晴らしい演奏されていた。これから詳細が決まっていくと思うが、秋には宮本さんと野村のライブも実現しそうだ。(6月12日のキックオフのトークイベント、密やかに宣伝中。)

 

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荒井良二さんの絵本《たいようオルガン》に作曲するのだが、相変わらず方針がかたまらないまま、絵本を見た後、水戸芸術館から送ってもらった関連動画を研究中。水戸芸術館のオルガン、11月3日に新作を初演してくださるオルガニストの石丸由佳さんの動画など。で、実は、この新作、これに朗読が入る予定で、朗読をしてくださるのが、ソプラノ歌手の小林沙羅さん。小林沙羅さんの動画を色々見ているうちに、この方に朗読していただくのもいいが歌ってもらう方がいいかも、と思い始めて、すっかり、ソプラノとオルガンのための新曲を書くつもりになる。そう言えば、《たいようオルガン》を合唱曲にした作曲家が木下牧子さんで、YouTubeに動画があがっているので、これも改めて見てみた。他人の仕事を見ると、自分が何をやりたいか、よく分かった。ぼくは、荒井良二さんの絵本の世界や色彩感や遊びの感覚を、オルガンで表現したいんだな。荒井さんのテキストに作曲したいのではなく、荒井さんの絵とセッションする音楽を書きたい。だから、テキストは朗読になったり、歌になったり、場合によっては読まれないことさえあるかもしれない。そう思ったら、いろんな楽器をおもちゃ箱をひっくり返したように散らかして、遊び始めた。自由に遊び始めたら、作曲が始まった。どんな音楽を今日から書いていくのか、方向性は見えた。のびのびと遊び、単色のオルガンではなく、カラフルに色合いが変わっていくオルガンに、時々、声が重なっていくだろう。声色もカルフルに変化していくだろう。

 

コントラバス奏者の近藤聖也さんと打ち合わせ。「ことばとコントラバス」というテーマで新曲を委嘱していただいた。「ことば」と「ス」というテーマで、コントラバスと声のための作品だが、声を朗読にするか、歌手にするかは、選択自由とのこと。今日は、《たいようオルガン》で、ソプラノ歌手の小林沙羅さんに朗読してもらうか、歌ってもらうかについて、考えていたのだが、《たいようオルガン》の次に作曲する「ス」の新作も、歌ってもらうか、朗読か、迷う。《たいようオルガン》では、ソプラノ歌手に、朗読していただくので、コントラバスの新曲では、男声にして、朗読ではなく歌にしよう、と考えた。近藤さん、初めてお話させていただいたが、溝入敬三さんの《猫に小判》を聴いて、コントラバス奏者になった、という稀有な方で、だから、コントラバスと言葉の出会いは、原体験なのだそうだ。なんか、面白い曲、書けそうな気がしてきた。

 

今日は、3つの異なる仕事の方針が見えた。そして、買い物の途中で、また新たな神社を発見して、参詣した。お参りばかりしている。