野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

荒井良二さん/23年前の文章/200m想/日本センチュリー交響楽団

美術家/絵本作家の荒井良二さん、水戸芸術館コンサートホールの高巣真樹さんと打ち合わせ。昨年、荒井良二さんの絵本『たいようオルガン』を原作として、野村が作曲した(パイプ)オルガンとソプラノのための《たいようオルガン》が、石丸由佳さんと小林沙羅さんによって水戸芸術館世界初演となった。それに関連しての新たなプロジェクトの打ち合わせ。荒井さんは素晴らしい画家であるだけでなく、とても自由な精神の持ち主なので、一緒に時間を過ごすこと自体がとても貴重。2006年にNHKの子ども向けテレビ番組の仕事でご一緒して以来、福岡、新潟、山形、水戸と荒井さんと楽しいことを経験してきた。お話しているうちに、また楽しいアイディアが浮かんできて話が尽きなかった。

 

23年前書いた拙い文章が公開になった。当時、パソコンも使っていなくて、インターネットも見ていなかったので、文章も書き慣れていなくて、勢いに任せた語弊のありそうな文章が、そのまま掲載。当時のいろんな気持ちを思い出す。「若い作曲家への開放」として、大友良英さん、新垣隆さん、武智由香さん、とともに作曲の機会をいただいたのは、とても嬉しかった。文章を読む限り、当時の野村はもっと色々な交流を自分から仕掛けていきたかったのだけど、高橋悠治さんや高田和子さんのような先輩方に(自分なりに)遠慮したり恐縮したりしながら、(失礼のないように)一緒に遊ぼうと模索していたようだ。高田和子さんにお会いできないのかと思うと、やっぱり悲しい。高田さんとお話した時間は本当に貴重な時間だった。そして、悠治さんから「来年はバンドをやろうと思っているんだよね」と「糸」の構想を聞いた時のワクワクを、思い出した。Anant NarkkongがタイでKorphaiをやっていることを知る5年前、日本で高橋悠治と高田和子が「糸」を立ち上げた。ぼくがタイでアナンと親しくなったり、東南アジアで色々なプロジェクトを始めて、「糸」をアジアの他の国の音楽家たちと繋げていけそうなアイディアが生まれてきた頃には、高田さんはこの世を旅立たれてしまった。高田さんが旅立たれて15年も経つが、高田さんの情熱は今も沸々と伝わってくる。ぼくの主観による「糸」についての思い入れの多い文章を再読。23年前に考えたこと、感じたことを大切に、これからも伝統楽器に向き合っていこうと思う。

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《200m想》の公演は3日後に迫っているが、集まっての稽古は明日から。ということで、自宅で個人練習。ダンスシーンの作曲ができているが、今日は何度も練習しながら、譜面を手直し。

 

経営状況が大変な中、コロナ禍で楽団の存続を目指しヘトヘトになるのではと心配になるほど数多くのコンサートを続けている日本センチュリー交響楽団が、寄付金を集めるべくクラウドファンディングを行なっている。残り数日、目標額までまだ到達していないらしい。

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