野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

10のプリミティブな音楽

日付が変わっても「カエルケチャ祭り」は続く。

 

明け方、3時半から最後の公演。雨の中、屋根のあるコスダリ庵から、演奏。絶頂のカエルの合唱と、本間さんのグンデルと、野村の鍵ハモ。本間さんが生まれることに関する朗読をし続けて、「産まれました」の話が続く中、人間の言葉から少し距離が起きたくなり、雨の中、田んぼの畦道へ。カエルとの共演が延々と続く。カエルの合唱は素晴らしいが、カエルの伴奏者になる必要もないので、ぼくもカエルになって思いっきり演奏する。いや、ぼくがカエルになる必要もないので、ぼくはぼくとして演奏する。カエルのオーケストラと鍵ハモ一本で対峙する。カエルのオーケストラは素晴らしいが、カエルのオーケストラに甘えて頼っていてはいけない。カエルをフォローするばかりじゃいけない。カエルがぼくの伴奏になるくらい、カエルを刺激し、触発し、驚愕させるくらいでいい。ぼくは、カエルに遠慮せずに、演奏した。敬意はあるが遠慮はしない。

 

雨の中、鶴林さんと里村さんが照明で照らしながら、ずっと見守ってくれている。そのうち、佐久間さん、本間さんも、外に出てきて、空が白み、カエルはフェイドアウトして、畑での佐久間の舞となった。泥んこになりながら、携帯で配信している里村さんのカメラに向かっていく佐久間さん。鳥が鳴き始める。カエルが退場して、佐久間の舞があった。それは、よいエンディングだった。

 

夜明けとともに、カエルケチャ祭りは終わる。

 

自宅に戻り、朝シャワーの後、爆睡。

 

午後は、だじゃ研(千住だじゃれ音楽研究会)のオンラインセッション。10月末に開催予定の「千住の1010人 in 2020年」に向けて、「帰ってきた千住の1010人」の中から、「ボロボロボレロ!ワンダフル」と「ファンファーレ騒動」の2曲を実際にやってみる。ボロボロボレロは、普通にボレロをやろうとするだけで、うまく合わなくてボロボロになるので、簡単に適度なボロボロ感が出せて面白い。「ファンファーレ騒動」は、団扇が画面にいっぱいに見せられるのが面白い。いっぱい使っても面白いのかも。そして、メメット のオンラインコンサートのために、撮影。プリミティブな音楽がテーマだから、複雑なルールや決め事をせずに、本当にプリミティヴに演奏。手拍子、ボディパーカッション、茶碗、声、口、だじゃれ、紙、本、タイピング、飲み物を注ぐ。こうしたシンプルな行為のアンサンブルは、ZOOMに向いているのか、楽しかった。