ホルストの音楽は、参加するための音楽である。ホルストの「吹奏楽のための第1組曲」を編曲しながら、ホルストのことを考える。ドイツ音楽の強い影響下の中、ドイツ音楽から脱却した音楽をつくるべく、イギリスの民謡を収集したり、パーセルやタリスなど、イギリスの昔の作曲家の曲を発掘したりした。と同時に、アマチュアの音楽活動を積極的に行った。階級社会のイギリスで、女性や労働者階級の人々のための音楽講座を続け、社会主義的なコミュニティでの音楽を模索した。こうした20世紀前半にホルストやヴォーン=ウイリアムスが蒔いた種は、20世紀後半には、イギリスで創造的な音楽教育やコミュニティ音楽という形でイギリス各地で成長していく。そんな英国式の様々なワークショップは、日本にも大きく影響し、今では、日本センチュリー交響楽団も様々なコミュニティ・プログラムを行っている。
こんなことを、いろいろ整理したいと思ったのは、5月の「ハイドン大學」ではハイドンの交響曲第93番、第95番、第97番の3曲と、ホルストの「吹奏楽のための第1組曲」の4曲について解説することになっているからで、ハイドンの3つの交響曲はロンドンで作曲したもの。つまり、ホルストとハイドンと野村の共通項はイギリス。イギリス民謡、音楽と社会、イギリスなどという主題で、この4曲と日本センチュリー交響楽団の活動から何か見えてくるかを、うまく炙り出せるレクチャーが作れないだろうか?そんなことを考えながら、かつて読んだBeyond Britten - The Composer and the Communityという本で、こうしたイギリスのコミュニティ音楽と作曲家の流れを説明する項目を再読する。ハイドンとホルストと野村と日本センチュリー交響楽団を結びつけるキーを探している。
夜は、鈴木潤さんと柿塚拓真さんと「音楽の根っこ オーケストラと考えたワークショップハンドブック」に関する1時間半のオンライン生放送をした。事前に入念に打ち合わせをして、ノープランで進行することをプランした。なかなか密度の濃い話ができた気がするし、次回への宿題もいただいた。次回は、28日の15時放送の予定。本日の放送は、後からでも見れるようです。まだの方は、是非!こちらです!