野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

「今日のニュース」の入浴シーン

編曲作業をして、その後、即興でピアノを弾いて、その後、自分の作品を次々にピアノで弾いた。2011年ー2018年に書いた「日本民謡集」の12曲、2019年に書いた「十和田十景」の10曲、「福岡市美術館2」の9曲、「問題行動ショー」のために書いたクラリネットとヴァイオリンとのトリオなど。「日本民謡集」以外は、昨年の春に書いた曲で、1年前が遠く感じられる。こうした曲をまた発表したいなぁ。せっかく作った曲を誰かにまた聞いてほしいなぁと思う。

 

2年前の香港滞在中の日記を読み返しながら、香港での滞在を文章にまとめる作業をしている。i-dArtの1週間の時間割を改めて見直してみて、すごいプログラムの量に驚く。

 

そういえば、香港の巨大福祉施設JCRCに滞在中も、今のコロナの状況に似たことあったなぁ、と思い出す。20の施設が1箇所に集まっているので、どこかの施設で感染症の人が出ると、まず施設内で隔離され、その際は、アルコール消毒の上、マスク着用でないと、その施設には入れなくなる。施設の入り口に、アルコール消毒とマスクが置いてあった。さらに、何人かの感染者が出ると、その施設自体がロックダウン状態になり、他の人々は元気でも、そこにワークショップに行くことができなくなった。せっかく良い状態だったのに、数週間立ち入り禁止になり中断したワークショップがいくつかあった。

 

あの時は、施設に入所している利用者の人々が、なかなか外に出られる機会が少ないので、施設の外に出る機会を作ろうと思って、トラム(路面電車)でのコンサートをやったり、住宅地の中での即興パフォーマンスをやった。逆に、施設の外から施設に来てもらってのツアーパフォーマンスをした。ぼく自身、施設の中でずっと生活していると、だんだん息苦しくなってきて、外に出たくなったから、そういう企画を考えたのだと思う。

 

今、仕事があまりない時期なので、勉強ができる。いろいろな勉強の仕方があるけれども、普段なかなかフォローできていない若いアーティストの動向など、いろいろ勉強しようと思って、自分が接点のある若いアーティストのことをいろいろ考える。それで、だじゃ研メンバーで高校生になったばかりの涼太のことを思い出し、見てみると、小学校時代の動画「ヘリサイザー第九」が既に面白かった。だじゃ研には、80代で自作のスピーカー作ってくる坂口さんもいて、10代から80代までの多彩な人々と音の実験を楽しめる環境にいることは、恵まれているのだなぁ、と思う。

 

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ヒンデミットの伝記を読んでいて、ヒットラーヒンデミットを禁止したきっかけが、ヒンデミットの「今日のニュース」の中で、ソプラノ歌手が裸でお風呂に入って歌うシーンが気に入らなかったと知る。えーっ、そんなことで「退廃芸術」になっちゃうの、と改めてヒットラーの異常さとそれが現実になった1930年代に驚く。そして、ヒンデミットフルトヴェングラーが、そこそこ呑気で、ヒットラーを説得できるとか、音楽を聞いてもらえれば理解してもらえるとか、手紙などでやりとりしているうちに、どんどん事態が悪化していくのを読みながらハラハラする。今のぼくたちの生きている時代も、後世の人が伝聞すると、何を呑気なこと言ってるんだ、危機感が足りなすぎると言われるのだろうか。今の日本の状況は、いつでも亡命できる心構えと準備くらいはしておかなければならないくらいの情勢だろうか?ヒットラーが緊急事態宣言を発令して独裁に入っていった時代に、ヒンデミットフルトヴェングラーも危機感が薄い。でも、安倍晋三が緊急事態宣言を発令した後にヒットラー的な独裁恐怖政治に拍車がかからないように、本気の危機意識を持たないといけないなぁ。

 

 

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