野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

仕立て屋のサーカス

今年の秋、日本相撲聞芸術作曲家協議会( JACSHA)で城崎国際アートセンターにレジデンス(滞在制作)する。今日は、城崎国際アートセンターにてレジデンス中の「仕立て屋のサーカス」とのコラボをするために、城崎への電車の旅。JACSHA制作の里村さんと城崎に着くと、雪が降っていた。里村さんの知り合いの美術家の中島さんがバイトしているお店で軽食ランチの後、アートセンターへ向かうと、作家のいしいしんじさん、そのこさん、ひとひくんと遭遇。いしいさんに、仕立て屋のサーカスの曽我大穂さんを紹介してもらったのは、先月のこと。

 

アートセンターで、ワークショップを見学。ファッションデザイナーのスズキタカユキさんと音楽家曽我大穂さんの二人がナビゲートだが、曽我さんは、「仕立て屋のサーカス」の発起人であり、演出家であり、音楽担当で、制作であると自己紹介があり、スズキさんは、演出も制作もするが、主に布に関わることを担当すると自己紹介。一人で何役もこなす。ワークショップでは、布を裂き、絵を描き、結んで、どんどんつないで、旗が会場中に張り巡らせられ、サーカス空間ができていく。

 

ワークショップの後は、ミニパフォーマンス。360度で鑑賞できる円形。音と布を中心としたパフォーマンスで、時々、光があったり。美しいシーンがいろいろある。その美しさは、緻密に作り込んだ美しさではなく、何かが入り込める隙間がある不完全さの先にある美しさ。不完全だからこそ美しい。

 

いしいさんの「その場小説」と「仕立て屋のサーカス」もセッション。サーカス小屋の中で小説が生まれるのを聞くのは、特別な体験。小説とミシン。小説とピアノ。小説と布。小説と光。

 

打ち上げ会場では、現代サーカスをこよなく愛する山田さんと隣席になり、いろいろ知らない世界を知った。ヒトヒくんが里村さんや手島さんと最初はグー、ジャンケンポイ、とジャンケンを挑む場面が数限りなくあり、日本海の海産物に感銘を受けたり、館長との面白い話などもあり、大穂さんの熱い思いもいろいろ聞き、明日から、いろいろセッションしたり、語り合ったりする下地ができたようだ。

 

昨年、現代サーカスの「頭と口」とDeFractoのコラボ企画の音楽をしたけれども、急に、サーカスとの縁がつづく。