野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

サーカス出たり入ったり

城崎国際アートセンターに滞在中の「仕立て屋のサーカス」に、短期合流中。

 

「仕立て屋のサーカス」の舞台セットの中で、「野村さんだったら、ここでどんな風にやりますか?」とのお題をいただき、とりあえず、即興でいろいろやった。野村が音を出したり動いたりすることが、仕立て屋のサーカスの公演に向けて、何かヒントになれば、それはそれは有難いし、何の助けにならなかったとしても、有難い。野村がいろいろやることを、とりあえず、今日の時間で体験してくれて、思ったことをああだこうだと言ってくれる時間があっただけで、本当に豊かで有難い。

 

そんな濃密な午後。いしいしんじさんは、時々遭遇すると、語り部として、本当だったのか創作なのかさっぱりわからないようなお話を淀みないテンポの良さで語り、ぼくらはその都度、聞き入ってしまうのだ。曽我大穂さんは、そのテンポとは全く違うテンポで淡々と自分の思いを語る。スズキタカユキさんから、ファッション業界の話を聞いたりするのも、また違ったテンポ。「仕立て屋のサーカス」は円形で、頂点になる演出家などいないので、誰もが中心になったり、誰も中心にならなかったりして、みんなが色々な居方を模索。

 

12月のえずこホールでのヒューとエマのインタビューの文字起こしのチェックで、久しぶりにヒューとエマの声を聞き、懐かしく思う。

 

夜は、里村さんが鳥取芸住祭の時に知り合ったアーティストで城崎の老舗旅館の若旦那になられた永本冬森さんと会う。旅館の中の一室がアトリエになっていて、特注巨大和紙にボールペンで描かれた涅槃図の制作現場を見たりして後、夕食をご一緒する。神奈川県出身の冬森さん、里村さんの二人とのトークも、独特なテンポ感。

 

その後、「問題行動トリオ」の十和田市現代美術館公演に向けて、打ち合わせ。来年度、十和田に三度に渡って出没する予定。砂連尾理さんのテンポと噛み合わないジャワのテンポの佐久間新さんで、会話にグルーヴが生まれる。

 

アートセンターでは、曽我さんの誕生会が続いており、語り部いしいさんの世界が続いていた。