野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

アリーナとサックスの出会い

サックス奏者のアリーナの家にディナーに招待される。

 

フレデリック・ショパン音楽大学の教授であるアリーナにとって、普段はクラシックを演奏するアリーナにとって、17日のコンサートが如何に大きな冒険であったか、を語られる。自分の職場で、同僚や学生たちを前に下手な演奏はできない。今回初対面の野村誠というエイリアンのような外国人作曲家の世界に飛ぶこむのは、勇気のいることだったろう。実際、同僚や学生からの反響は非常によく、結果は大成功だった。

 

ポーランドには、クラシックの音楽家、ジャズの音楽家、現代音楽の音楽家はいる。しかし、アリーナ曰く、野村誠は、そのどれでもない独自な音楽をつくっていて、野村誠のような音楽家ポーランドにはいない、と言う。だから、宣伝する上で、どのように説明し、どのように形容すればいいのかが、本当に難しかった、と言う。

 

アリーナのために書かれたサックス協奏曲が何曲もあり、ポーランドの現代音楽の作曲家が、作品を書く。時には、ソプラニーノサックス、ソプラノサックス、アルトサックス、テナーサックス、と持ち替える曲もあり、たった1曲のために4種類のサックスを駆使し、何ヶ月も練習し、たった2回だけの本番で終わったりする、とアリーナは言う。現代曲の初演に対する努力は大変だが、せっかく初演した曲をなかなか再演する機会がない。例えば、野村が大田智美さんに書いた「アコーディオン協奏曲」も2008年にドイツで世界初演されて以来、12年再演の機会がなく、来年3月に東京でようやく再演される。

 

アリーナは、もともとヴァイオリンを習っていたのに、14歳の時に音楽院にサックスコースの生徒が少ないから、サックスをやる人がいないかと言われて、ヴァイオリンと並行してサックスを始めたら、サックスに向いていると言われて、気がついたらサックス奏者になってしまった人。

 

アリーナの手料理をご馳走になりながら、いろいろアリーナと音楽の話もしつつ、ポーランドのクリスマスの風習なども味わう夜のパーティーであった。