野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

フレデリックショパン音楽大学にて

フレデリック・ショパン音楽大学でのコンサート。開演2時間前の17時から会場でのリハーサル。照明を薄暗くして、譜面灯を使って演奏したいとのこと。暗いステージでリハーサル。

 

ステージマネージャーの87歳のおじいさんが、黒いスーツでかっこいい。そして、風邪で体調を崩しているぼくの肩を揉んでくれる。色々な揉み方ができて、なんでこのおじいちゃん、こんなことができるの、と聞くと、あらゆる音楽家の体を見てきたからね、とのこと。

 

本番は、Pawel Mykietynの「Anioty w Ameryce」から始まった。これは、サックスでのアリーナのおはこの曲。ぼくは弦楽オーケストラのスコアを渡されて、それをピアノで弾く。そのまま野村の「インドライオン」のサックス+ピアノ版。アルベルトはベルなどで加わる。3曲目は、野村のピアノソロで、「Away From Home With Eggs」アルベルトに譜めくりをしてもらい、途中でアルベルトは譜めくりしながら、ピアノの高音部でアドリブして音を足したりする。4曲目は、アルベルトの「Map of ten improvisations」。これは、非常に催眠効果のような曲で、彼の芦川聡へのオマージュとしての曲だろう。ぼくは演奏しながら、徐々に、ピアノを演奏しながら、体が気功のように動き始めた。5曲目は、アリーナの「Autumn Phrase」という曲。これは、メロディーがあって、それに自由に伴奏をつけ、アリーナがアドリブする曲。サックス奏者らしい、サックスが歌う曲。6曲目は、野村作曲の「相撲聞序曲(ポーランド版)」で、冒頭のアルベルトのドラムソロが激しく叩きまくると、ぼくもステージ上で飛び跳ねてしまう。演奏は、アリーナ、アルベルトが絶妙のアンサンブルで、演奏しながらもゾクゾクする。7曲目が野村作曲の「Casa Mozart, summer 2019」。アリーナのサックスとピアノで美しく奏でる中、途中で問題行動のアルベルトが乱入してくる斬新なアレンジ。最後に、ぼくが1990年代前半にやっていたバンドpou-fouのABを演奏して終了。この曲が生まれた1991年には、まだアルベルトは生まれていなかった。アルベルトの素晴らしいドラミングと共演するのが、本当に貴重な体験。8曲から成るコンサートが終了。

 

ステージ上で巨大なバラの花を受け取る。本当に、濃密なコンサートを、アリーナ、アルベルトとできて嬉しい。

 

フレデリックショパン音楽大学には、日本からの留学生が多数いるとアリーナが言っていたが、客席には、おそらく日本人留学生は一人もいなかった。そのことは、少し残念であった。