野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

コミュニティ音楽の二つの文脈

ヒューとエマが京都の我が家に移動。

 

船岡山建勲神社大徳寺などを観光する。

 

我が家で、ヒューの認知症の人とのコラボをモチーフにした作品を練習。

 

潤さん、里村さんと、鍋を囲み語り合って後、ジャーナリストの岡本さん宅で、ヒューと語り合う。

 

ヒューの言葉で印象的だったのは、コミュニティ・ミュージックについての分析。「コミュニティ・ミュージック」という言葉に、二つの文脈がある。一つは、オーケストラとかオペラとかに対して、政府が使う。一部の富裕層にだけ訴えかけるような芸術には、公的なお金を出せない、という文脈。オーケストラには、女性の指揮者が少ないのはおかしい。黒人のプレイヤーが少ないのはおかしい。障害者のプレイヤーがいないのはおかしい。という使い方。もう一つは、左翼から出てきた文脈。全ての人々が繋がって社会参加していく。その際に、音楽が有効だ、というもの。ストリートカルチャー、市民参加。この二つの全く違う文脈から出てきたものが、一つの概念になっている。

 

もう一つ印象的だったのは、学生時代に、ヒューがドイツのミュンヘンで路上演奏をした話。午前中に、富裕層の主婦が買い物に行く時間帯に2時間ほどクラシックを演奏するだけで、お金がたくさん集まり、宿泊費や生活費が余裕で捻出できたそうだ。そして、昼間は遊んで過ごし、夜、路上でジャズやロックを演奏したそうで、若者が集まって大いに盛り上がったがあまり稼げなかった。でも、とても楽しかった、という話。