野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

鳩も区別がつく

トーキーのヒュー・ナンキヴェル宅に滞在中。午前中は、ヒューのコミュニティ合唱団「Choral Engineers」のリハーサルに参加。2週間前に第1次世界大戦をテーマにしたコンサートを終えたところで、現在はクリスマスのコンサートに向けて準備中。クリスマスには、Sufjan Stevensという音楽家のクリスマスソングをアレンジして、地元のコミュニティ・オーケストラの伴奏でコンサートをする予定。練習に参加すると、楽譜は一切使わずに、耳で覚えるアレンジで、楽譜が読めなくても参加できるように工夫されていて、凄いと思った。金曜日の午前中に集まれる人々20名ほど。

休憩後に、野村のワークショップを少々。「タイの村祭り」をやってみる。そのまま教えるだけでも面白くないので、5つのうち4つのリズムパターンを伝授して後、5番目はトーキーのオリジナルバージョンを考えてもらう。全然、タイとは違うノリが加わって面白い。声のアンサンブルが、どんどん自由になっていく。その後、千住だじゃれ音楽祭のレパートリーより「ほうれんそう連想」を教えて歌ってもらい、「鍵盤ハーモニカ・イントロダクション」を披露。

午後は、Redmount Residential Homeという老人ホームで行われているBiscuit Bandに参加。これは、娘と一緒に独居老人を訪ねて一緒にビスケットを食べる、という活動をしていたスージーの活動に出会って、ヒューが始めた音楽活動。3年前から月に一度やっている。老人ホームに、独居老人が何名か集めってきて音楽をし、そこに、親子連れが集まり、3世代の交流する音楽ワークショップ。ヒューは、スキンシップを大切にしていて、全員と握手する。急に踊り出す人など、色々いる。指揮棒が活躍する場面もある。創作の歌もある。5歳の子どもの提案で、ソッキーロックという歌が即席で生まれる。今までに作った歌のレパートリーもたくさんある。

夜は、Play Torbayという団体の活動の表彰式が、Lucky 7 Clubという所である。隠れ家のような音楽クラブの薄暗い照明の中の舞台上に、表彰される子どもや、演劇コースを終了した大人、ボランティア活動をした人などが次々にあがり、ヒューが賞状を渡す。

その後、ピザのふるまいがあって後、パフォーマンスで、マジックショー、マンドリン演奏の後、ぼくとヒューで鍵ハモデュオの演奏。「鍵ハモ・イントロダクション」を二人でやったのも初めてで、しかも即興で面白く入ってきて、コントのようになる。ヒューは、コメディアンのような役者のような優れた音楽家。その後、昼のワークショップで作ったソッキーロックを演奏し、最後に、ヒューとグレアムの合作のクリスマス曲「pigeon can distinguish」を歌ってくれるのに合わせて、バス鍵ハモで即興で伴奏。ヒューとワークショップや演奏をし続けた一日。来年1月以降の日本で始まるプロジェクトは、イギリスでも展開していけそうな気がする。