ついに11月になった。鳥取県民を中心とする様々な人々と、クロスジャンルバンド「門限ズ」と、美術家の藤浩志さんが、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を題材に、移動型の越境する「ゲキジョウ実験!!! 銀河鉄道の夜→」の公演も、いよいよ明日、明後日に控えている。
銀鉄部室に行くと、藤浩志さんたちが、猛烈な勢いで舞台美術を量産している。出演者もスタッフも、みんなが集まってきて、作業をしている。ぼくも美術づくりに参加し、自分の衣装として、巨大な蝶ネクタイをつくる。各自の衣装が日々更新されていく。どこが終点かわからないまま、日々変化していく生きた美術。しかも、みんながつくる美術。
劇場では、照明チームがチーフの田中さんを中心に、猛烈な勢いで照明をつくっている。外では、フリーマーケットチームの準備、そして、映像展示の準備が進んでいる。
ダンサー/振付家の遠田誠が、衣装に縫い物をしている。遠田誠の振付作品を初めて見たのは、20年前で、その時に、遠田誠は、ぼくが学生時代にやっていたバンドpou-fouの音源で踊っていて、びっくりした。まさか、自分のCDの音源が流れるとは、予想していなかったので。あれから20年、こうして一緒に、鳥取で公演をつくっているのが、不思議な縁だ。
チケットが、4公演のうち、3公演が完売。残りの公演も残席5席となったとのことで、おそらく時間の問題で完売になるだろう。事務局の野口くんが、文字通り飛び回り、走り回り、いろいろな板挟みになりながら、毎日、工夫して動いてくれている。
倉品淳子という物凄い存在感のある俳優がいる。声、立ち姿、その圧倒的な存在で、舞台上にすごく輝く。その彼女が、実は面倒見のいいお姉さんであり、衣装も器用につくるし、子どもたちへの演技指導やケアなんかもする。鳥取県の事業である「とりアート」は県民文化祭で、我々ゲストアーティストは、主役ではない。県民があくまで主役である。でも、アマチュアである県民の人々に遠慮せずに、プロの俳優の圧倒的なパワーでの演技と、子どもたちの演技が出会う。そんなシーンが、実はスリリングでぞくぞくする。
鳥取西高校の合唱部と、鳥取市交響楽団メンバーの弦楽アンサンブルが、今日、初めて一緒に演奏した。バラバラに練習してきたものが合体してくる。そんな中、藤さんチームが、譜面台にどう装飾するか、木琴に何を装飾するか、と美術をトッピングしてくる。
シーンによっては、見る場所によっても、見える光景が違ったりする。本当に、いろいろな個性の人が、いろいろな輝きを放っていて、まるで夜空に輝く星々のように。
もう、明日は本番。あと何回かしか、一緒にやれないのかと思うと、寂しくもある。このメンバーで、こんなに思う存分、遊べるなんて、なんて幸せなことなのだろうと思う。大変だけど、やってきてよかったな、と思った。
明日、みんなが無事に公演を迎えられますように。