野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

インドネシアのカリスマ作曲家メメット到着

インドネシアから作曲家のメメット・チャイルル・スラメットさん到着。かつてインドネシア芸大の学生だった平出さんもサポートに到着。明日のトーク&コンサートに向けて、リハーサル。

 

メメットが2014年に作曲した1010人で演奏するための「Senju 2014」を下敷きに野村がアレンジした新曲「Senju 2019」は、2台ピアノと声と様々な楽器が加わるアンサンブル。さっそくメメットさんに指揮をしてもらい、20人ほどで大合奏。5年前の興奮が蘇る。ジャワ舞踊の佐久間新さんも大活躍。

 

メメットが明日のために作曲した新曲「Bermain」を野村の指揮でリハーサル。メメットの楽譜を起点にどんどん逸脱して発展/成長していく。メメット曰く「マコトさんは素晴らしい作曲家で、いたずらな作曲家なので、私の曲をどんどん変えていく。しかし、私はそれが面白く、コラボするのが嬉しい」とのこと。メメットは、インドネシアから、特別な石の楽器を持参。これが、見た目も音も素晴らしい。

 

メメットさんとのリハーサル後、メメットさんは買い物/観光に出かけ、我々はさらに特訓を続けた。特訓の後で、明日の準備のための話し合いをして、これで解散と思ったが、せっかくなので、即興の時間を設ける。たくさんの人々が同時に音を出すと、飽和状態になって、それぞれの音が聞こえない混沌となる。そんな中で、誰かがルールを作ったり、指揮をすれば、混沌から調和ができる。でも、今日は、さんざん指揮のある音楽をしたので、そのままの時間を楽しんだ。すると、混沌の中から、時々、何かが浮かび上がりかけては消え、また別のものが浮かび上がり、消え、定着しそうで定着しなかったり、一緒になりそうで統一はされなかったり。そんな時間が延々とつづく。その状況を楽しみながら、即興がつづく。そうして、続いていく中で、何かが時々生まれたり、急に不思議なくらい美しい瞬間があったりする。リーダー不在の状況で、調和や安定は生まれにくいが、不調和や不安定を楽しむと、そこから何かが生まれる奇跡に出会えることもある。社会や世界も、それを待つ余裕さえあれば、絶対権力を握るリーダーが不在でも、不調和や不安定が楽しめるのだろうな、と思う。いや、ここに集った人々が、野村というリーダーを信用していて、そして、野村がここにいる人々を信用しているから、こういう不調和や不安定を、丸ごと楽しめる場がつくれるのかもしれない。

 

旅館に戻り、メメット、佐久間さん、平出さんと、明日のことや、2020年5月の「千住の1010人 in 2020」について、濃密なディスカッション。メメットはワクワクしているし、いっぱいアイディアもある。それにしても、久しぶりにインドネシア語をいっぱい喋った。

 

明日のイベント参加者受付中。入場無料。インドネシアのユニークな作曲家の石での音楽についての話や実演など、貴重な機会。お見逃しなく!詳細は、こちら。

 

「千住の1010人 in 2020年」プレイベントvol.03 開催 | アートアクセスあだち 音まち千住の縁