野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

宮沢賢治の謎と本当の幸い

謎が好き。わけのわからないものが好き。不思議が好き。なんだか惹かれる。わかんないけど、美しい。宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」は、わけがわかんないところがいっぱいあって、美しい。その理解を超えた美しさの鏡に照らされるように、不思議な魅力を持った謎な人々が、たくさんいる。謎を隠して、普通な顔をして生きている。でも、実は、みんな謎の人であり、みんな不思議なのだ。

 

鳥取銀河鉄道祭に巻き込まれて、「銀河鉄道の夜」の音楽劇の音楽を担当することになり、気がついたら、賢治の世界に惹かれる不思議な魅力の人々が集う場ができてきた。こんな人々と出会い交流する場があること。そこから、音楽やダンスや演劇の欠片が誕生して、コロコロ転がって、拡散して、影響して、連鎖して、なんだかとんでもなくなっていく。

 

一人ひとりの人が輝く、とか、キャッチコピーの様に言われても、嘘くさい綺麗事と思う。なのに、こんな風に、一人ひとりが輝いて、存在している。嘘じゃない。こういう現実もあるんだ。嬉しい。

 

今日は、朝10時から17時まで、濃密なワークショップ。いろんなことやった。最後に車座になって、これまでの体験を一人ずつ一言で言ってみることにした。一人ずつが語り始めた。小学生も、大人も、高校生も、大学生も、語り始めた。みんなが、自分の言葉で語る。ゾクゾクする劇的な体験。ドラマチック。

 

生きるってなんだろう。死ぬってなんだろう。幸せってなんだろう。アートってなんだろう。人生ってなんだろう。それを、演劇だったり、音楽だったり、ダンスだったりで、あの手この手を使って表現し続けてきて、一体なんだろう、って一緒に考える仲間がいること。そのことが、本当に幸せなんだ、と思えた時間だった。感謝。

 

本当の幸いは、一体なんだろう、ハレルヤ ハレルヤ ハレルヤ