野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

Carlos Chavez and Memet Chairul Slamet

鳥取での濃密な3日間を終えて、京都に戻る。

 

旅行の道中の読書は、「Carlos Chavez and His World」(Princeton University Press)。20世紀のメキシコを代表する作曲家のチャヴェスについての17の論文がまとまった本。5年前に、日本センチュリー交響楽団のコミュニティ・ミュージック・ディレクターに就任して以来、21世紀の今、日本でオーケストラをすることの意味について、頻繁に考えるようになった。20世紀の前半、メキシコ革命の直後に、作曲家としてだけでなく、メキシコ国立交響楽団の芸術監督としてメキシコの作曲家の音楽を促進し、メキシコ国立音楽院の学長として教育にも携わるなど、様々な活動したチャヴェスの思考の足跡が参考になるかもと思って購入して、時々読んできたが、本日読了。メキシコ革命以降、壁画運動を展開する美術家たちとも連動し、国民楽派として、前衛音楽家として、教育者として、試行錯誤するチャヴェスについて。ピアノ曲交響曲など、音楽そのものについての研究もあれば、同時代のレヴエルタス、コープランド、カウエルなどとの交流の研究もあり、さらには、同世代の美術家や詩人とのコラボレーションの研究もあり、オーケストラ運営の研究もあり、チャヴェスについて多面的に読むことで、自分自身の活動のヒントをいっぱいもらった。メキシコに行ったことがないが、いつか行きたい。

 

それにしても、チャヴェスの空想上のアステカ音楽Xochipilliが、どことなくインドネシアの作曲家のメメット・チャイルル・スラマットの音楽を想起させるのが、不思議だ。メメットといえば、夜、佐久間新さんが訪ねてきて、久しぶりに話し込んだ。10月20日には、インドネシアから来日の作曲家メメットと、佐久間さんと、だじゃれ音楽研究会と一緒に、色々なセッションができると思う。

 

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