野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

問題行動ショー、いよいよ明日

いよいよ「ノムラとジャレオとサクマの問題行動ショー ヨソモノになるための練習曲」も明日になった。丸一日の濃密なリハーサルの合間に、明日のプログラムのための文章を作文。すごく濃密で面白い数々の場面に本当に感謝。プログラムの文章を以下に転載します。近くからも遠方からも数多くのご予約をいただておりますが、それでも空席は多数あり、当日券はいっぱいありますので、ご予約されていない方も、是非お越しください。

 

開演前

 

1 カーニバル

2 さいしょのフォト

3 してはいけません

 

第1部

 

1 はじまりの鐘

2 現代のことば

3 見えないは

4 香港の3ヶ月

5 それぞれの時間

6 けむりのたたかい

7 音楽教室

8 カエルとヘビの旅立ち

 

休憩

 

第2部

 

1 佐久間まねダンス

2 はじまりの鐘

3 ウッドブロックとレモン茶

4 二人のダンス 

5 太鼓の世界と踊りの世界

6 合気道対決

7 駅名リミックス

8 マジックショー

9 木琴の時間

10    帽子の二人

11   ふっ

12   ころがる

13   ダンス教室

14    愛不同藝術

 

ぼくは、昨年香港の巨大福祉施設JCRCに3ヶ月滞在しました。3ヶ月、福祉施設の中で暮らしながら、しかし、介護の仕事は一切せずに、そこで自由に芸術活動をする。それは、特別な時間でした。3ヶ月の間に、せっかくなので、この福祉施設の人々とできる限り交流をしたいと思いました。音楽家であるからには、交流するためにできることは音楽しかありません。広東語が片言なので、音楽がメインのコミュニケーション手段になっていきました。そして、音楽を通して、多くの友達を得ることができました。本当にあたたかく迎えてもらい、JCRCはぼくの第2の故郷のようになったのです。最後には、JCRCのアート部門i-dArtのアンバサダーに任命され、仲間の一員となりました。

 

滞在中に、二人のダンサー砂連尾理さんと佐久間新さんが訪ねてきました。彼らは、野村の香港での活動を見たいと思って訪ねてきたのです。二人のダンサーは、広東語は全く話さないのに、カラダでコミュニケートしていきます。I-dArtのメンバーたちとのダンスセッションは印象深かったのです。ちょうど、その時に、偶然にも豊中市立文化芸術センターのプロデューサー柿塚拓真さんも野村を訪ねて香港に来ていました。柿塚さんはクラシック音楽のプロデューサーでコンテンポラリーダンスを企画したことはありませんでしたが、そこで見た光景が印象深く、即座に「野村さんと砂連尾さんと佐久間さんの3人で、香港の滞在を舞台作品にしてください」とオファーがありました。

 

当初は、出演者3人だけの公演の予定でした。予算規模も決して大きくありません。しかし、この企画に賛同したi-dArtは、自ら渡航費を捻出し、強力なメンバー13人を送り込んできました。嬉しい誤算でした。香港からそんなに来るのならば、我々もと、(佐久間さんが長年コラボレーションを続ける)たんぽぽの家からも3名のメンバーが、(野村が5年前から関わっている)日本センチュリー交響楽団からも2名の音楽家が出演してくれることになりました。出演者合計21名。ノムラとジャレオとサクマの「問題行動ショー」を再演することは十分あり得ると思いますが、今日の21名が勢揃いするような惑星直列のような機会は、なかなか得難い奇跡的なことかもしれません。一期一会と言いますが、本当に、今日、この時間、この場所にいられることに感謝したいと思います。そして、今日、この時間、この場所に足を運び、目撃者になってくださった皆様にも、心から感謝を申し上げます。

 

では、最後までごゆっくりお楽しみください。香港に行く時は、是非、i-dArtをお訪ねくださいね。(野村誠