野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ノムラノピアノ✖️福岡市美術館

福岡市美術館でのコンサート。会場は、ミュージアムホール。ホールという名前がついているが、ホールというよりは、レクチャーができるセミナー室といった感じ。小さな舞台があり、あまり使われていないアップライトピアノがある。ピアノは、あまり弾かれていないので、楽器の状態は非常に悪かった。美術館のホールには、もともとピアノがなかったが、どこかで使われていなかったピアノが、ここに来たらしい。会場もピアノも、高品質ではないとみなされていて、それほど頻繁に活躍していない。そうした場所で、そうしたピアノを弾くこと。普段、あまり日の目を見ないピアノを表に出すこと。そうしたことができることは喜びだ。状態は悪いけれども、ホールの中で一番響きの良い場所を探して、そこにピアノを置く。本当に使われていなくて、音が鳴らないピアノだったが、昨日から、ちょっとずつ弾き込んできたら、ちょっとずつだけど、楽器が響くようになってきた。ちょっとずつ蘇ってくる。こんなことができるだけで、嬉しく思う。

 

無料のコンサートで予約を取らないこともあり、開場の時点で50人近い行列ができていて、結局、180席のホールはほぼ満席となった。ありがたいことだ。ただ、ご入場をお断りしたお客様もいらしたと聞き、それは申し訳ないことをしたと思う。

 

10年前のワークショップに参加された方が複数、10年前の譜面を持ってこられて、サインをしてほしいと、終演後に来られた。10年間大切に持っていていただいたこと、嬉しく思う。

 

美術館で美術の門外漢の野村が、美術作品についての音楽作品を作曲した経験から、それらの美術作品について演奏するだけでなく、語った。美術史もわからない門外漢が、ダリを作曲しようと思っていかに途方にくれたかと語ったり、ポルケの作品が、いかにとっかかりが見出しにくいか、と言ったりすること。美術鑑賞と音楽鑑賞をクロスオーバーする面白い体験だと思った。作曲家の着想や発想を知ると同時に、それらの美術作品への作曲家の眼差しを言語化し音楽化するプロセスが共有できるのは、面白い。また、やりたい。

 

正路さん、そして美術館の皆さん、貴重な機会ありがとうございました。また、続編やる機会をつくりましょう。

 

九州大の長津くん、つかささん、正覚寺の住職、TAPや釜ヶ崎芸大以来久しぶりのゆーちゃん、ニコちゃんの会のマユミンなどと、カフェで語り合って後、正覚寺でも、ちょっとだけピアノミニライブ。

 

福岡の皆さん、またきまーす!