野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

i-dArtカーニバル

昨日まで二日間、室内での国際シンポジウム。今日は、ずっと野外。高架下にお洒落な店があったり、フリースペースがあったりして、すぐ海辺の芝生が隣接する新しい憩いスポットvesselにて、午前中ワークショップ。野村のワークショップは、1時間半が2回で、どちらも、オープンクラスとして、国際シンポジウム参加者が見学できる。実際に、アーティストが知的障がい者とワークショップをしているところを公開する場として設定。

 

と言っても、この公開ワークショップは、今日の午後のステージのリハーサルを兼ねていて、しかも、6月29日に日本の大阪の豊中のアクア文化ホールで行われる「ジャレオとサクマとノムラの問題行動ショー」のリハーサルも兼ねているというもの。

 

メンバーは、9時半ー11時までの1時間半、30人ほどの人々に見守られてのワークショップは、もう既に本番モード、本気モード。エネルギーを出しまくって、精一杯の演奏。

 

11時半ー13時のワークショップも、同様に精一杯の演奏。そして、回を重ねるごとに、どんどん進化していく彼ら/彼女らに驚愕するばかり。各回のワークショップの後半では、砂連尾さんと佐久間さんのワークショップが乱入してきて、既にカーニバル状態になる。

 

爆発ピアノくん、ノリノリちゃん、などだけでなく、舌出しピアノくんが池田邦太郎さんと連弾したり、さらには、ダンサーだったはずの人が、突然ピアノと鍵盤ハーモニカに目覚めて、鍵盤大好きくんになったりする。

 

そして、午後3時からのステージ。お客さんがいっぱいいる中、野村とアフリカンドラマーのタケオくん、手作り楽器の魔術師の池田邦太郎さんとアッキー、そして、二人のダンサー砂連尾さん佐久間さん。これでパフォーマンスを始めると、砂連尾さんが、すぐに、客席にいる小学生の女の子(ぼくと仲良しで、昨年よく一緒に遊んだ)を舞台に引き上げる。そのまま香港チームがどんどん舞台に登場し、混沌となる。この混沌を客席から写真や動画に収める人々がいっぱいいる。見たことのない光景。つまり、大団円が一番最初。

 

この後、池田邦太郎+アッキーの手作り楽器披露。さらには、野村と爆発ピアノくんのデュオ。気合い満点。バンドリーダーさん、笑顔のタンバリン娘たち、とのセッション。手品の達人と砂連尾さんのガチンコデュオダンスにノリノリちゃんも飛び入りし、太鼓を連打。野村がピアノの演奏をやめた時、何の合図もなしに、猛烈に連打していたノリノリちゃんが演奏をやめて、ぴたっと終わる。びっくりでしかない。なんなんだ!

鍵盤大好きくんとのピアノと鍵ハモのデュオに、ロックンロールくんと佐久間さんが飛び入りして踊る。そして、舌出しピアノくんとタケオくんのセッション。舌出しピアノくんは予想外に楽器ではなく、踊る。佐久間さんが飛び入りして、一緒に踊る。ぼくは歌う。i-dArt, i-dArt, I do different art......この45分のステージがこんな風にできたことに、感激。

 

それでもつづく、カーニバル。4時半から第2弾。また、全然違う観客が集まってくる。みんな楽しみにしている。今度はキーボードがない会場。打楽器アンサンブルで、延々ドラミング。この人たち、こんなにリズム感よかったっけ。こんなにアンサンブルよかったっけ。タケオくんが一緒にいることで、i-dArtの知的障がいのメンバーは、知的障がい者としてではなく、ミュージシャンとして存在することを、タケオくんから学んでいる。タケオくんの影響は大きい。ちなみに、ぼくの視線は、別にそれほど上から目線ではなく、一緒にセッションすると学ぶこと教わることが本当に本当に多いのですが、しかし、それよりも何よりも、あまりの露骨な成長速度に、やはり驚愕するので、そっちの話が多くなる。

 

そして、最後に、パレード。ウクレレチーム、金管バンド、サンババンド、自然生クラブ田楽、などと合流したパレードに最後に合流した我らi-dArtのマコトバンド。パレードを先導してメインステージになだれ込む。そして、それから、heart n soulのライブで、みんなが思う存分踊っていくうちに、日が暮れていく。池田邦太郎さんが、次々に手作り楽器をプレゼントし、それらの人が楽器で音を楽しみながら、ライブに参加して踊っている。「千住の1010人」もすごい人の渦だったけど、今日のカーニバルもすごかった。

 

それにしても、昨年は、長くても1時間しかワークショップしなかったマコトバンドのメンバーと、今日は丸一日演奏し続けた。それでも、彼ら/彼女らは、演奏する手を止めなかった。本当に心から表現をしようとしている人々。表現することが生きること。そして、砂連尾さんと佐久間さんの存在によって、今までに見たことのないダンスが、彼ら/彼女らから引き出されていくことも驚愕。