野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

i-dArtの国際会議と香港組曲

4月11−13日に、香港のi-dArtが「知的障がいの人とアート」をテーマに国際会議を開催する。ぼくは、分科会でファシリテーションなどについて発表/ディスカッションをしたり、音楽ワークショップをしたりするし、昨年一緒にいろいろやったJCRCのメンバー+新倉壮朗くんとカーニバルなる演奏もする。アメリカ、イギリス、オーストラリア、シンガポール、スペイン、台湾、日本、ベルギー、香港から、様々な発表、ワークショップなどが準備されている。ベリーニが、普通の退屈な国際会議にしたくないから、いろいろ面白い仕掛けをしたい、と意気込んでいたので、面白いことになるだろう。そもそも、i-dArtは、本当に面白い企画を次々に打ち出していて、昨年は、野村誠を3ヶ月施設の中に住ませてしまうという仰天企画も実現させ、とにかく勢いよく次々に面白い企画を打ち出している。こちらが、ウェブサイト。

 

i-dart.tungwahcsd.org

それで、4月の国際会議に向けての原稿を書いて正月に送ったのだが、また、再度、ベリーニから書き直しの要望があって、書いて送った。ワークショップのファシリテートって、どういうことなのか。それは、基本的には、「イエスと言って、参加者のやることを否定せずに、ついていくこと」なんだと思う。ぼくの実践例の中から、どんな風にクリエーションが起こるのかを具体的に話すつもりだ。創造性ということが、時には間違いだったり、勘違いだったり、そういうところから起こる。だから、そうしたことを間違いだ、失敗だと却下せずに、いかに肯定して創造活動をするか、というのが、ぼくの興味。あとは、音楽/音と人がどう関わっているのか、その関係性について。もう一つは、音楽が場所とどう関わっているか、これもお風呂だったり、路面電車だったり、いろいろなところで音楽を実践してきた経験をもとに話すつもり。あとは、楽器の特性と人の特性の話。さらには、観察すること、聴くことの美学。そして、ドキュメントをどう残していくか。こんな発表を25分でやって、ディスカッションに入る予定。かなり濃度の高い発表になるなぁ。

 

さて、たまたま、たまたまなのだが、野村誠+佐久間新+砂連尾理のプロジェクトが、ホップ、ステップ、ジャンプと3段階でくる。一つ目が、佐久間新が振付/演出で、奈良の「たんぽぽの家」との舞台作品「だんだんたんぼに夜明かしカエル」で、砂連尾さんはアドバイザー、野村は音楽を担当し、2月17日に神戸のジーベックホールで、3月9日、10日に東京のBUoYで行われる。二つ目は、4月の香港のi-dArtの国際会議で、砂連尾さん、佐久間さんも、香港でワークショップをし、国際会議終了後も、野村+佐久間+砂連尾で香港に滞在し、福祉施設内でパフォーマンスのクリエーションを行う。そして、3つ目が6月29日。大阪(豊中)で、野村誠原案/音楽で、砂連尾さんと佐久間さんが出演し、さらには、香港のi-dArtからも、奈良のたんぽぽの家からもゲスト出演があり、さらには日本センチュリー交響楽団からもゲスト出演がある「(仮称)香港組曲」という公演をする。

 

この3つは、全く別物ではなく、つながっているが、「香港組曲」は、香港の体験をもとに野村が19の楽譜と19のテキストを書くから、野村のカラーが強く出るだろう。それらを、砂連尾さんと佐久間さんが舞台化する。今日は、「香港組曲」の原作原稿を作文しようと思っていたが、やっているうちに、まずは作文でも作曲でもなく、タイトルをつくる、目次をつくるのが、自分らしいアプローチだと思えてきた。

 

しばらくは、昨年4月ー7月の香港の体験をもとに、タイトルをつくってみようと思っている。