野村誠の作曲日記

作曲家の日記です。ちなみに、野村誠のホームページは、こちらhttp://www.makotonomura.net/

ボロボロボレロ

 本日より東京へ移動。明日、「バルトークトークする」というお題目でトークをするので、バルトークピアノ曲の譜面を見たり、バルトークの伝記を読んだり、バルトークに関する研究論文を読んだりしながら、明日のトークの内容を考えるも、あまりにも話したい内容が多すぎて、10分に収まりそうもなく、とりあえず、資料を荷物に詰め込む。さらには、バルトークに関連して、ルトスワフスキーのポーランド民謡のアレンジピアノ曲の楽譜や、野村の日本民謡アレンジのピアノ譜も荷物に入れる。
東京に移動。1月25日の日本センチュリー交響楽団定期演奏会で演奏される野村誠作曲「ポーコン」の曲目解説を作文。
東京藝術大学千住キャンパスのスタジオAに到着。明日の「第3回だじゃれ音楽研究大会」に向けてのリハーサル。2011年に立ち上げた「野村誠千住だじゃれ音楽祭」も、継続していて8年目。そもそも、2012年の足立区政80周年を記念しての2年間の企画だった。「だじゃれ」と「音楽」をテーマに人々が集う場を、藝大の中に展開するという当初の妄想は、しっかり現実になっている。着くと、だじゃ研(=だじゃれ音楽研究会)のメンバーの吉村さんから、明日のコンサートで、ラヴェルの「ボレロ」とだじゃれを合体させた「ボロボロボレロ」をやりたい、と言う。
明日が本番なのに、前日の今日、新しいアイディアを提案してくる。これを無理だと却下するのは簡単なことだ。しかし、本番の前日に、新しい案を提案して下さること、自分たちの発案で新たな「だじゃれ音楽」を生み出したいという意欲に応えることこそ、ぼくの役目である。ヘナチョコな「ボレロ」に、ヘナチョコな「だじゃれ」で、当初はとても明日に見せられるものでない「ボロボロボレロ」だったが、少しずつ糸口が見えてくる。
明日のゲストの佐久間新さんが到着。佐久間さんと初めて出会ったのは30年前。佐久間さんはケチャをテーマにだじゃ研と試行錯誤をされる。これまた、面白いのだが、明日に発表できるクオリティにまで達するのかは甚だ怪しい。佐久間さんが「何かが足りないですね」と言う。
この「何かが足りない」という台詞があったので、じゃあ、佐久間さんのケチャに「ボロボロボレロ」を合体させましょう、と提案。ボレロとだじゃれとケチャが合体すると、これが不思議な組み合わせで、魅力あるレパートリーが誕生した。何事も取り組んでみることだと思う。
20年来の友人である東京藝大教授の熊倉純子さんらと夕食。彼女も忙しい時が多いので、東京に来て一緒に話せる時間は貴重。
深夜、明日、「ボロボロボレロ」を指揮しなければいけないので、YouTubeで様々な指揮者の「ボレロ」の指揮を、佐久間さんと見て、方針を考える。